後期研修医・指導医がおもな読者対象.診察の進め方・検査・治療手技,各疾患の診断・治療はもちろん,心構えやコミュニケーションの取り方,社会的知識と制度等にも焦点を当てている.臨床の現場で直面する問題の解決や循環器専門医としてのコミュニケーション能力習得のための必携の書.全171項目!待望の全面改訂.
関連書籍
ページの先頭へ戻る
目次
第1章 循環器研修でのアドバイス
A循環器医学のすすめ
1. 循環器医として歩んだ道 山口 徹
2. 循環器医の魅力 伊藤 浩
3. 循環器医としての将来と人生 筒井裕之
4. 後期研修病院の選び方 秦野 雄,磯部光章
5. 循環器内科専門医への道 尾崎行男
B医療現場でのコミュニケーション
1. 循環器疾患患者の心理と医療現場でのコミュニケーション 住吉徹哉
2. チーム医療 猪又孝元
3. クリニカルパス 橋本政典
4. 臨床工学技師からの注文 深谷隆史
5. 検査技師からの注文 植松明和,永井正樹
6. 薬剤師からの注文 金澤尚子,和泉啓司郎
7. 麻酔科医からの注文 張 京浩,加藤敦子
8. 地域連携 徳原 真
9. 患者およぴ家族への説明(インフォームド・コンセント),
心構えやコンセプトについて 今井 靖
C勉強の仕方
1. 研修医の到達目標 永田隆信,福本義弘
2. 文献検索・整理の仕方 森田啓行
3. 医学論文の読み方と書き方 森田啓行
4. 臨床疫学論文の読み方 飯室 聡
5. 臨床試験の解釈の仕方 山崎 力
6. 国内学会・国際学会発表と研究へのアプローチ 尾崎行男
7. 症例報告の準備と発表の仕方 今井 靖
8. 臨床医にとっての研究 永井良三
9. 海外研究留学のすすめ 筒井裕之
10. 海外臨床留学のすすめ 牧元久樹
D医療安全
1. 安全な医療の提供?医療事故を防ぐために 新保昌久
2. 循環器疾患と医療訴訟,医師賠償保険 原田賢治
E循環器医療・医学研究と社会
1. 医療倫理と研究倫理 平野景子,代田浩之
2. 利益相反 今井 靖
3. 個人情報の管理 今井 靖
第2章 診察の進め方
A医療面接の仕方
1. 循環器病診療における医療面接 磯部光章
2. 英語での医療面接 三石 績
B循環器患者の身体所見の取り方
■ 診察のポイント 羽田勝征
第3章 研修で学ぶべき知識と技術
A検 査
1. 胸部X線写真の読み方 西 功,飯田啓治
2. 標準12誘導心電図のとり方と読み方 村川裕二
3. Holter心電図 村川裕二
4. 遅延電位(LP) 仲井 盛,櫻田春水
5. 運動負荷試験(Master,トレッドミル,エルゴメーター,呼気ガス分析)
平田直己
6. Head-up tilt test(HUT) 小林洋一
7. 心血管生化学マーカー 清野精彦
8. 心エコー 大門雅夫
9. 冠動脈CT angiography (CTA)の可能性と限界
尾崎行男,村松 崇,元山貞子
10. MRI(magnetic resonance imaging) 北川覚也,佐久間 肇
11. 心臓シンチグラム 中川 晋
12. 心臓カテーテル検査と心血管造影(冠動脈造影,左室造影,動脈造影)
村田伸弘,高山忠輝,平山篤志
13. 血管内診断機器(IVUS, OCT, FFR) 青木 浩,久保隆史,赤阪隆史
14. 頚動脈エコー 大門雅夫
15. 電気生理学的検査 樫村 晋,髙月誠司
16. 四肢の血圧と脈波検査 山科 章
B基本的な管理・処置
1. 安静度 上田哲郎
2. 体位のとりかた 上田哲郎
3. 水分出納の観察 横山広行
4. 酸素投与 横山広行
5. 食事療法,栄養指導 簗瀬正伸,福嶌教偉
6. 日常生活上の注意:肉体的負荷に対して 大原貴裕
7. 日常生活上の注意:メンタルヘルス 西村勝治
8. 静脈路の確保 細谷弓子
9. 心嚢穿刺 細谷弓子
10. 胸腔穿刺 細谷弓子
Cおもな症候のみかたと対応
1. 胸痛・胸部の圧迫感 廣井透雄
2. 呼吸困難 富田泰史,奥村 謙
3. 動悸,心悸亢進 富田泰史,奥村 謙
4. 失神,めまい,意識障害 元木博彦,池田宇一
5. チアノーゼ 元木博彦,池田宇一
6. 心音異常・心雑音 林田晃寛,吉田 清
7. 血圧異常 林田晃寛,吉田 清
8. 四肢疼痛 江口和男
9. 腹痛 江口和男
D循環器救急
1. 救急患者の循環動態をどのように把握するか? 堀内 優,青木二郎
2. 循環器救急における血行動態モニタリング 長谷川 祐
3. 循環器救急で必要なBLS/ALS 野々木 宏
4. 循環器救急で見逃してはならない鑑別診断 桑原政成,石綿清雄
第4章 各疾患のみかたと対応
A心身症としての循環器疾患
■ 心身症としての循環器疾患 井上信孝
B不整脈
1. 不整脈の種類と診断法 大江征嗣,福本義弘
2. 抗不整脈薬の選び方 大江征嗣,福本義弘
3. 早期興奮症候群,Brugada症候群 合屋雅彦
4. 心房性期外収縮,発作性上室頻拍,心房粗動,心房細動
八木直治,山下武志
5. 心室期外収縮,心室頻拍,心室細動 黒木健志,青沼和隆
6. 洞不全症候群,房室ブロック 佐々木真吾,奥村 謙
7. ペースメーカ不全 佐々木真吾,奥村 謙
8. QT延長症候群,薬剤誘発性不整脈 村田広茂,清水 渉
C心不全
1. 心不全の診断と重症度評価 坂田泰史
2. 急性心不全の初期対応と治療 佐藤直樹
3. 慢性心不全の治療 筒井裕之
4. 心不全における併存疾患の管理
(糖尿病,貧血,CKD,COPD,カヘキシーなど) 衣笠良治,山本一博
5. 心不全における睡眠呼吸障害の管理 百村伸一
6. 心不全のリハビリテーション 絹川真太郎
7. 治療抵抗性心不全の治療戦略(補助人工心臓,移植) 絹川弘一郎
D虚血性心疾患
1 安定狭心症
① 症候性狭心症患者への問診のポイントと検査アルゴリズム
藤井謙司
② 無症候性心筋虚血 山科 章
③ 安定狭心症の薬物療法 栗田章由,天野哲也
④ 安定狭心症に対する血行再建(PCI/CABG)の適応と効果 中川義久
⑤ 安定狭心症に対する体外衝撃波治療 伊藤健太,下川宏明
2. 急性冠症候群
① 急性冠症候群を的確に診断するには(成因,画像診断,問診,診断の落とし穴) 尾崎行男
② 急性冠症候群における薬物療法 和田英樹,宮内克己
③ 急性冠症候群に対するPCI 石原正治
④ 急性心筋梗塞の合併症に対する対策と外科治療 高木 靖
⑤ 急性心筋梗塞後のリハビリテーション 後藤葉一
3. その他
① 陳旧性心筋梗塞の管理 衣笠良治,山本一博
② 冠攣縮性狭心症の診断と治療 海北幸一,小川久雄
③ 川崎病の診断と管理 前村浩二
E弁膜疾患
1. 増加する心臓弁膜症 楠本三恵,福田祥大,尾辻 豊
2. 僧帽弁閉鎖不全症:プライマリー 林 篤志,福田祥大,尾辻 豊
3. 僧帽弁閉鎖不全症:虚血,心不全に伴う 尾上武志,福田祥大,尾辻 豊
4. 僧帽弁狭窄症 山田博胤,楠瀬賢也
5. 大動脈弁閉鎖不全症 楠瀬賢也,山田博胤
6. 大動脈弁狭窄症 大橋浩一,渡邊弘之
7. 感染性心内膜炎 大門雅夫
8. 人工弁置換術後の管理 大門雅夫
F成人先天性心疾患
1. 成人先天性心疾患診療の現状と問題点 丹羽公一郎
2. 心房中隔欠損症 赤木禎治
3. 心室中隔欠損症 髙田秀実,檜垣高史
4. 動脈管開存症 赤木禎治
5. Fallot四徴症 松本賢亮
6. Ebstein奇形 元木博彦
7. 修正大血管転位症 松本賢亮
8. 大動脈縮窄症 檜垣高史
9. Fontan術後 元木博彦
10. 先天性心疾患のおもな術式を理解する 市川 肇
11. 成人先天性心疾患の合併症
① チアノーゼ性疾患 相馬 桂
② 肺高血圧症 八尾厚史
③ 不整脈 庄田守男
④ 妊娠と出産 赤木禎治
G心膜疾患
1. 心膜疾患・心嚢液貯留・心タンポナーデの診断ポイント
今井靖子,田中信大
2. 急性心膜炎(ウイルス性) 今井靖子,田中信大
3. 収縮性心膜炎 今井靖子,田中信大
H心筋症
1. 心筋疾患の診断のポイント 筒井裕之
2. 肥大型心筋症 森田啓行
3. 拡張型心筋症 坂田泰史
4. 拘束型心筋症 坂田泰史
5. 不整脈原性右室心筋症 野上昭彦
6. 特定心筋疾患(特に心アルコイドーシス,心アミロイドーシス)
廣江道昭,江口和男
7. 急性心筋炎(劇症型心筋炎含む) 藤田英雄
I心臓腫瘍
■ 心臓腫瘍 天野 純
J血圧の疾患
1. 本態性高血圧の病態と診断,生活指導のポイント 藤原健史,苅尾七臣
2. 降圧薬の選択と血圧管理目標 原田和昌
3. 家庭血圧測定・24時間血圧測定 星出 聡
4. 二次性高血圧の鑑別 平田恭信
5. 治療抵抗性高血圧・重症高血圧 大蔵隆文
6. 高血圧性心疾患 藤野 晋
7. 脳血管障害を合併した高血圧 永井道明,土手慶五
8. 低血圧症に対する鑑別と治療 藤野 晋
K動脈疾患
1. 動脈疾患
① 動脈疾患の診断のポイント 重松 宏,渡部芳子
② 胸部大動脈瘤,腹部大動脈瘤 細山勝寛,齋木佳克
③ Valsalva洞動脈瘤(破裂) 高木数実,田中啓之
④ 大動脈解離 高木数実,田中啓之
⑤ 高安動脈炎(大動脈炎症候群) 宮田哲郎
⑥ Marfan症候群 宮田哲郎
⑦ 急性動脈閉塞症 佐藤 紀
⑧ 急性上腸間膜動脈閉塞症 佐藤 紀
⑨ 閉塞性動脈硬化症とBuerger病 佐々木健一郎
⑩ 側頭動脈炎,四肢末梢動脈瘤 佐々木健一郎
L肺循環系の疾患
1. 肺循環の特徴と肺高血圧症の診断 赤木 達
2. 肺動脈性肺高血圧症 赤木 達
3. 急性肺血栓塞栓症 中村真潮
4. 慢性血栓閉塞性肺高血圧症 松原広己
M他臓器疾患に伴う循環器異常
1. 甲状腺機能異常に伴う心疾患 中川 仁,大倉 宏之
2. 透析患者の心血管障害 池上直慶,矢野雅文
3. 膠原病に伴う心疾患 久保 誠,矢野雅文
4. 神経筋疾患における心病変 樋口公嗣,大石 充
5. 代謝疾患に伴う心筋病変 樋口公嗣,大石 充
N静脈・リンパ管系の疾患
1. 深部静脈血栓症 山田典一,伊藤正明
2. 下肢静脈瘤 大澤 晋
3. リンパ管炎・リンパ浮腫 成島三長,光嶋 勲
第5章 非心臓手術・検査時の注意点とリスク管理
1. 虚血性心疾患患者の注意点 吉野秀朗
2. 不整脈患者の注意点 庄田守男
3. 心不全患者の注意点 坂田泰史
第6章 書類の形式
1. 紹介状の書き方 山沖和秀
2. 紹介医師への返事 山沖和秀
3. 英文カルテ,診断書,紹介状の書き方 三石 績,三角和雄
4. 身障者認定・難病等医療費助成・介護のための書類の書き方
新保昌久
5. 病歴サマリーの作成 今井 靖
索 引
ページの先頭へ戻る
序文
編集の序
2004年に導入された新医師臨床研修制度は,卒後教育のあり方だけでなく,医療提供体制にも大きな影響をもたらしました.しかし新制度下における医療の混乱は,研修制度によるものというよりも,近年の医療のあり方の変化,すなわち専門医と総合医のあり方,医療現場における安全や倫理,医療者の労働環境などの様々な問題が表面化したためと考えられます.このような状況の中で,研修医に求められる内容は大きく変化し,医療面だけでなく全人的な教育・研修が益々重要となってきました.
好評を得ておりました旧「循環器研修医ノート」は,第3版発刊から既に7年が経過しました.この間,循環器医をめざす若手のための入門書として,1万人を超える愛読者を得てまいりました.しかしながら時代の変化は大きく,今回「循環器研修医ノート」を改訂する運びとなりました.旧シリーズのコンセプトを踏襲しつつ、技術的な事項を刷新し,現代の医療に即した循環器診療の入門書として内容を再検討いたしました.
いかに優れた病院であっても、指導者によるばらつきは大きく,多くの若手医師は試行錯誤のなかで個々に勉強しているのが実情です.本書は,そのような環境にある後期研修医を主な対象とし,現場で直面する問題に対して適切な解決策を提示できるよう編集されました.若手医師だけでなく,循環器指導医にとっても役立つテキストとなるよう考慮されています.
今回の改訂にあたり,マニュアル的な記載は可能な限り図表化し,解説に重点をおいていただきました.循環器専門医を目指す研修医にとって日常診療の現場で本書を参考としながら患者さんの診断と治療に役立てていただけることを願っております.
最後にご執筆いただいた諸先生方に心より感謝申し上げます.
2016年3月吉日
自治医科大学学長 永井良三
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科循環器内科学教授 伊藤 浩
自治医科大学循環器内科准教授 今井 靖
藤田保健衛生大学循環器内科主任教授 尾崎行男
北海道大学大学院医学研究科循環病態内科学教授 筒井裕之
国立国際医療研究センター病院循環器内科科長 廣井透雄
久留米大学医学部内科学講座心臓・血管内科部門主任教授 福本義弘