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書籍詳細

デジタル脳波の記録・判読の手引き診断と治療社 | 書籍詳細:デジタル脳波の記録・判読の手引き

日本臨床神経生理学会 編集

初版 A4判 並製 110頁 2015年10月30日発行

ISBN9784787821898

定価:3,080円(本体価格2,800円+税)
  

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デジタル脳波の記録・判読のコツが満載された日本臨床神経生理学会編集の解説書が登場.第1部では記録・判読の指針を掲載し,第2部,第3部では指針に基づいた実例や注意点をわかりやすく解説.大きな脳波図によってポイントが一目でわかるようになっており,どこからめくっても,理解できる工夫を凝らしたデジタル脳波の記録・判読のスキルアップのための決定版.

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目次

発刊によせて   
序文   
執筆者一覧

第1部 デジタル脳波の記録・判読指針
はじめに 
指針の目的 
1 記録の手順と注意点 
 1-1 総論 
 1-2 記録時のモンタージュの選択 
 1-3 デジタル脳波計のフィルタ構成とフィルタ条件の選択   
 1-4 記録の最中の注意点   
2 判読の手順と注意点   
 2-1 総論   
 2-2 モンタージュの選択   
 2-3 フィルタ条件の選択   
 2-4 総合判定   
  2-5 報告書作成   
 2-6 判読時支援用解析ツール   
3 各種の病態での注意点と指針   
 3-1 脳死判定   
 3-2 体内埋め込み型電気刺激装置   
 3-3 意識障害患者   
 3-4 小児   
4 資料・文献   
  4-1 添付資料:脳波検査申込書/報告書   
  4-2 参考資料   
4-3 文献   

第2部 指針に基づいた実例提示
1 記録        人見健文,池田昭夫 
2 判読モンタージュ    松浦雅人   
3 判読フィルタ    井内盛遠,松本理器   
4 判読時支援用解析ツール  小林勝弘   
5 意識障害患者でのペーパレス脳波記録と判読の実際  橋本修治

第3部 脳波記録判読時に重要な補足事項
1 安全管理上の注意点   
  1-1 小児の脳波記録時の工夫・留意点    酒田あゆみ   
 1-2 発作時の注意点            重藤寛史   
2 デジタル脳波判読時の思考過程    飛松省三   
● デジタル脳波記録機器スペック一覧    文室知之,寺田清人   

索引   

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序文

発刊によせて

 臨床脳波の最近のトピックスは,デジタル脳波計の活用です.これにより,情報量が増え,判読の精度が上がり,アナログ脳波計では見逃していた所見もみつけられるようになりました.つまり,疑わしい所見をみつけたときに,モンタージュやその他のパラメータを適宜変えながら,多面的に検討できる新しい脳波判読が可能となったのです.
 残念ながら,脳の検査についてはCTやMRIなどの画像検査の進歩により,形態的な検査が重要視されています.しかし,機能的な面を検査する脳波の重要性は失われていません.形態検査で異常所見が検出されないときには,脳波はその威力を発揮します.したがって,脳波は,画像では捉えにくいてんかんや意識障害時の診断に必須の検査です.
 現在,脳波専門医とよばれる医師は少数派であり,施設によっては,脳波を指導できる医師がいません.独学で脳波を学ぶことは困難であり,よき教科書が必要です.この本は,そのよき教科書になるよう,企画されました.どこからめくっても,どこからはじめても理解できるように工夫されています.本書が,どうしたらデジタル脳波を判読できるようになるのか悩んでいる神経内科医,脳外科医,精神科医,小児神経科医,臨床検査技師などの方にお役に立てば幸いです.
 日本臨床神経生理学会では,11年前からスキルアップのための筋電図セミナーを開催しています.これに加えて脳波セミナー・アドバンスコース,脳脊髄術中モニタリングセミナーを本年から立ち上げました.本書を通読されてもっと脳波を勉強したいという方は是非,脳波セミナー・アドバンスコースを受講してください.
 最後に,本書を世に出すにあたっては,日本臨床神経生理学会ペーパレス脳波の記録・判読指針小委員会の池田昭夫委員長ならびに委員の皆様の多大な努力と貢献がありました.ここに心から感謝申し上げます.

 2015年10月
日本臨床神経生理学会理事長
飛松省三


序文

 本書は,日本臨床神経生理学会から2015年はじめに本学会誌に掲載発表された「デジタル脳波の記録・判読指針」(臨床神経生理学43, 1:22-62, 2015)(日本臨床神経生理学会ペーパレス脳波の記録・判読指針小委員会作成)について,よりわかりやすい実用的解説書になることを目的としました.第1部では,指針のなかの脳波などの図を拡大して,よりみやすくわかりやすくし,第2部,第3部では,その内容に応じて事例や注意すべきことをより具体的に提示しました.本書は,アナログ脳波からデジタル脳波への移行がうまくいっていないと感じる医師の皆さん,あるいはデジタル脳波をより効率的に使いたいと思っている医師および検査技師の皆さんばかりでなく,これから脳波を本格的に勉強したいと思っている若手の医師と検査技師の皆さんに,きっとお役に立てるものと思います.
 臨床脳波の歴史は長く,1920年代にヒトの脳波が初めてドイツのイエナ大学のHans Berger教授により記録され1929年に発表されました.それ以降あっという間にその臨床的有用性が認められ,世界中に広まり,ペン書きのアナログ脳波計が広く普及しました.1990年になって,デジタル技術が進歩して,デジタル脳波計が徐々に広まり,現在は日本を含め世界中に広く使用されています.機器の進歩で様々なことができるようになり,デジタル脳波計の機能の解説的な成書はたくさん出版されています.しかしながら,ユーザーの立場からのデジタル脳波計の記録の実践的指針,判読の実践的指針は,実はほとんどありません.
 本書が,スーパーカーにも例えることができるデジタル脳波計を日常臨床でより上手に効率的に使いこなしていただけるのにお役に立てば大変幸いです.
 デジタル脳波により,革新的な臨床生理学的知見が新たにみつかってきています.“新しい葡萄酒(=革新的新規の脳波所見)は,新しい革袋(=技術革新された脳波計)に入れて”,きっと将来の脳機能の研究と臨床応用がさらに進歩するものと期待します.
 最後に,本委員会の委員の皆様,わかりやすい解説と症例提示をいただいた分担執筆者の皆様に深謝いたします.

 2015年10月
日本臨床神経生理学会 ペーパレス脳波の記録・判読指針小委員会委員長
(同学会 脳波セミナー・アドバンスコース委員会委員長)
池田昭夫