救急科研修医・若手医師のベストセラー,待望の第3版! 自力で来院する軽症患者から,救急車・ドクターカー・ドクターヘリで搬送される遠方からの重症患者対応まで,日々のERで活用できる知識をコンパクトに収録.改訂第2版より5年の時を経て,全面見直しに加え新たに災害医療と潜函病の中でも減圧症への対応を追加した.南房総約50万人の生命を預かり,亀田総合病院で日々活躍する救急医たちの精髄がここにある.
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目次
執筆者一覧
改訂第3版によせて
改訂第2版によせて
初版 序文
I 心肺蘇生
1 2015AHAガイドラインアップデートでの主な変更点
2 心停止アルゴリズム(BLSおよびACLS)
3 心拍再開後のケア
4 ERでの気道確保
II ERでよくみかける症候
1 意識障害
2 頭痛
3 めまい
4 けいれん
5 失神
6 胸痛・背部痛
7 動悸
8 呼吸困難
9 喀血・血痰
10 腹痛
11 悪心・嘔吐
12 下痢・便秘
A 下痢/B 便秘
13 吐血・下血
14 血尿
15 尿閉
16 下肢痛
17 脱
18 筋力低下
III 症候群各論
1 意識障害
A くも膜下出血/B 脳内出血/C 脳梗塞/D 脳炎/E 髄膜炎
2 胸痛・背部痛
A 急性冠症候群/B 胸部大動脈解離/C 心筋炎
3 動悸
A 頻脈性不整脈/B 徐脈性不整脈
4 呼吸困難
A 上気道炎(かぜ症候群)/B 肺炎/C 気管支喘息/D 自然気胸/E 肺血栓塞栓症/F うっ血性心不全/
G 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪
5 腹痛
A 急性虫垂炎,大腸憩室炎/B 急性胆囊炎,急性胆管炎(急性胆道炎)/C 胃・十二指腸潰瘍/D 腸閉塞/
E 虚血性腸疾患/F 腹部大動脈瘤破裂/G 重症急性膵炎
IV 外因性疾患と損傷
1 外傷初期治療―JATEC™
A primary survey(PS)/B secondary survey(SS)/C 蘇生に必要な治療手技(各手技のポイントのみ示す)
2 熱傷の初期治療
3 中毒
A 中毒の診断と初期治療/B 主な中毒の診断と治療/C 食中毒
4 生物化学兵器
5 原発事故による放射能汚染
6 溺水(drowning)
7 偶発性低体温症
8 熱中症
9 気管・気管支異物
10 消化管異物
A 食道異物/B 胃腸内異物
11 高山病
12 刺咬症
13 縊頸(hanging,near hanging)
V 救急で知っておきたい感染症
1 ショックを伴う感染症
A 毒素性ショック症候群(TSS)/B 脾臓摘出後重症感染症(OPSI)/C ツツガムシ病,日本紅斑熱/
D 感染性心内膜炎(IE)
2 尿路感染症
3 肺炎
A 細菌性肺炎/B 結核
4 皮膚軟部組織感染症
A 蜂窩織炎/B 壊死性筋膜炎・ガス壊疽
5 破傷風
A 破傷風の診療/B 外傷後破傷風予防
6 渡航者発熱
7 性感染症
A 男性の尿道炎/B 骨盤内感染症(PID)/C 急性HIV感染症:診断のみ
VI 緊急を要する特殊病態
1 ショック
A 総論/B 心原性ショック/C 閉塞性ショック/D 血液分布異常性ショック/E 低容量性ショック
2 肝性脳症
3 腎不全
4 糖尿病性昏睡
5 低血糖
6 副腎不全
7 甲状腺クリーゼ
8 電解質異常
A 低Na血症/B 高Na血症/C 低K血症/D 高K血症/E 低Mg血症/F 低P血症
VII 救急疾患における画像検査の役割
1 外傷における代表的部位のX線撮影法と注意点
2 代表的骨折の分類
3 代表的臓器損傷の分類
4 Ai(Autopsy imaging,死亡時画像診断)について
VIII 小外科手技
1 創傷の治癒について
2 皮膚の腫瘤性疾患
A ガングリオン/B 粉瘤(アテローム)/C 鶏眼
3 肛門疾患
A 内痔核嵌頓/B 血栓性外痔核/C 肛門周囲膿瘍
4 爪の疾患
A 爪下血腫(subungual hematoma)/B 爪周囲炎(paronychia)/C ひょう疽(felon)
5 特殊な損傷
A 口唇の裂創/B 弁状創(flap injury)/C 指先部皮膚欠損
IX 他科救急疾患
1 小児科救急疾患
A 総論/B 発熱/C けいれん/D クループ・喉頭蓋炎/E 気管支喘息/F アナフィラキシー/G 腸重積/
H 発疹/I 頭部外傷/J 被虐待児症候群
2 耳鼻咽喉科救急疾患
A 鼻出血症/B 鼻腔異物・耳内異物/C 急性外耳道炎・急性中耳炎/D 急性喉頭蓋炎・扁桃周囲膿瘍
3 眼科救急疾患
A 眼内異物/B 結膜異物/C 角膜異物/D 電気性眼炎/E 網膜剝離/F 硝子体出血/G 視束管骨折/
H 眼窩底骨折/I 眼瞼裂傷
4 産婦人科救急疾患
A 妊娠初期(妊娠13週まで)の性器出血/B 妊娠後期(妊娠28週以降)の性器出血/
C 産褥期出血〔分娩後出血(PPH)〕/D 妊娠高血圧症候群(PIH)/E 女性の下腹痛(妊娠関連疾患を除く)
5 精神科救急疾患
A 過換気症候群/B 抑うつ状態/C 興奮状態/D アルコール離脱症候群/E 幻覚妄想状態
6 整形外科救急疾患
A 総論/B 肩関節脱臼/C 上腕骨近位端骨折/D 上腕骨骨幹部骨折/E 上腕骨顆上骨折/F 肘内障/
G 橈骨遠位端骨折/H 手根骨・中手骨骨折/I 槌指(mallet finger)/
J 大腿骨近位部骨折(頸部骨折,転子部骨折)/K 膝蓋骨骨折/L 足関節骨折/M アキレス腱断裂/
N 足根骨・中足骨骨折/O 開放骨折
X 救急医療におけるその他の手技・知識
1 救急医療における高気圧酸素療法
A 減圧障害/B 一酸化炭素中毒/C 突発性難聴/D 網膜中心動脈閉塞症/E 軟部組織感染症
2 災害医療
XI 付録
1 皮膚のデルマトーム
2 救急外来でのグラム染色
A 抗菌薬の選択/B 染色方法/C 鏡検
3 救急医療に必要な法律的知識
A 届出・通報・報告の義務/B 死亡診断書と死体検案書/C 患者に関する情報や資料の警察への提供/
D 解剖についての知識/E 宗教上の理由による輸血拒否の対応
4 トリアージ
5 小児薬用量早見表
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序文
改訂第3版によせて
「亀田総合病院 KAMEDA-ERマニュアル」の初版が2008年2月に発行されてから,2008年と2010年に2回にわたって増刷しております.「KAMEDA-ERマニュアル」は幸いにして好評を得たことから,3年後の2011年11月に改訂第2版が発行されました.
話題が変わりますが,当院では,2003年より有床型ER方式を採用しています.つまり,walk-inで来院される比較的軽症な患者から救急車,ドクターヘリやドクターカーで搬送される重症な患者の初期診療,トリアージを行うと同時に,外傷,熱傷,中毒などの外因性患者や呼吸不全,敗血症性ショックなどの重症内因性患者は集中治療室に入院させて継続診療を行っています.
「亀田総合病院 KAMEDA-ERマニュアル」は上記に述べた広範多岐にわたる救急患者の診断と治療を行ううえで,役立つようにhandyで内容も理解しやすいように作成しております.改訂第2版の発行以降,救急疾患の診断と治療のガイドラインがかなり変化してきたことから,改訂第2版から4年が経過した今日の時点で,改訂第3版を作成すべきではないかと考慮するに至った次第です.
改訂第2版では原発事故による放射線汚染,研修医が知っておくべき小外科,誤診のない画像の診断法,ERにおけるトリアージを新たに付け加えました.加えて,改訂第3版では災害医療と潜函病のなかでも減圧症の2項目を追加することにしました.いずれの項目も,現在当院で活躍している先生方に読者の目線で執筆していただきましたので,若い初期研修医や後期研修医にとっては一層理解しやすく,日常の診療上かなり参考になるマニュアルになったのではないかと自負しております.最後に,改訂第3版を上梓するにあたって,ご協力をいただきました診断と治療社の編集者の方々に深甚なる感謝を申し上げます.
2016年3月 亀田総合病院 救命救急科顧問
葛西 猛