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クリニカルクエスチョン

女性内分泌クリニカルクエスチョン90診断と治療社 | 書籍詳細:女性内分泌クリニカルクエスチョン90

聖路加国際大学聖路加国際病院副院長 女性総合診療部部長

百枝 幹雄(ももえだ みきお) 編集

初版 B5判 並製 248頁 2017年04月20日発行

ISBN9784787822833

定価:6,050円(本体価格5,500円+税)
  

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女性内分泌について,臨床の場でよく問題になるポイントや,治療方針を考える基盤となる知識を中心に,Q&A方式でまとめました.アンサーはできるだけ実践的なものを簡潔にわかりやすく示し,解説でアンサーの背景やエビデンスを詳述していますので,Q&Aを中心に関連する広い知識を獲得できるようになっています.書籍「基礎からわかる女性内分泌」とあわせるとより理解が深まります.

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目次


執筆者一覧
略語一覧

Chapter 1 思春期
Q1 思春期発来のメカニズムは?
Q2 早発思春期の治療は必要か?
Q3 遅発思春期の治療は必要か?

Chapter 2 原発性無月経
Q4 原発性無月経となる視床下部,下垂体の異常にはどのような疾患がある?
Q5 真性半陰陽や仮性半陰陽の社会的性別はどのように決定する?
Q6 副腎性器症候群は何歳からどのように治療する?
Q7 精巣性女性化症候群の性腺摘出は必要か?
Q8 Turner症候群のホルモン補充方法は何歳からどのように行う?
Q9 純型性腺形成異常症の性腺摘出は必要か?

Chapter 3 続発性無月経
Q10 続発性無月経に対するホルモン検査の手順と解釈は?
Q11 挙児希望のない中枢性無月経どのように治療する?
Q12 体重減少性無月経の治療での留意点は?
Q13 神経性食欲不振症(神経性やせ症)は何科で診療すべきか?
Q14 女性アスリートの3主徴とは?
Q15 Sheehan症候群はどのように治療する?
Q16 Chiari-Frommel症候群やArgonz-del Castillo症候群はどのように治療する?
Q17 Forbes-Albright症候群に手術は必要か?
Q18 高プロラクチン血症をきたす薬剤にはどのようなものがある?
Q19 甲状腺機能異常ではなぜ月経異常をきたすのか?

Chapter 4 PCOS
Q20 PCOSと耐糖能異常の関係は?
Q21 挙児希望のないPCOSはどのように治療する?
Q22 挙児希望のあるPCOSはどのように治療する?
Q23 なぜLODはPCOSに効くのか?
Q24 PCOSのもつ健康リスクは?

Chapter 5 排卵障害
Q25 挙児希望のない希発月経はどのように治療する?
Q26 卵巣予備能評価における血中FSHや血中AMHの測定の意義と限界は?
Q27 排卵予知としての尿中LH測定を行う際の効果的な方法とは?
Q28 クロミフェンによる妊娠率を高めるには?
Q29 排卵のある不妊患者にゴナドトロピン療法は有効か?
Q30 hMGとリコンビナントFSHはどのように使い分ける?
Q31 OHSSを防ぐ排卵誘発法は?
Q32 ARTにおける調節卵巣刺激法はどう使い分ける?
Q33 ARTにおける低卵巣刺激はどのように行う?

Chapter 6 黄体機能不全
Q34 挙児希望のない頻発月経はどのように治療する?
Q35 一般不妊治療における黄体機能不全の治療法は?
Q36 生殖補助医療における効果的な黄体補充療法は?

Chapter 7 早発卵巣不全
Q37 卵巣機能に影響する抗がん剤はどのようなものがある?
Q38 POIに対する排卵誘発法を成功させるには?
Q39 POIに対するホルモン補充療法はどのように行う?

Chapter 8 異常子宮出血
Q40 異常子宮出血(AUB)のFIGO分類とは?
Q41 思春期の機能性異常子宮出血はどのように治療する?
Q42 更年期の機能性異常子宮出血はどのように治療する?

Chapter 9 月経随伴症状
Q43 月経前症候群にはホルモン療法が有効か?
Q44 月経関連片頭痛はどのように治療する?
Q45 挙児希望のない機能性月経困難症はどのように治療する?
Q46 挙児希望のある機能性月経困難症はどのように治療する?
Q47 月経移動の方法と留意点は?

Chapter 10 子宮内膜症
Q48 現時点ではまだ挙児希望のない子宮内膜症の治療は手術か薬物療法か?
Q49 挙児希望のある卵巣チョコレート囊胞は手術すべきか?
Q50 痛みのある深部子宮内膜症の治療は手術か薬物療法か?
Q51 稀少部位子宮内膜症の治療は手術か薬物療法か?

Chapter 11 子宮筋腫・子宮腺筋症
Q52 現時点ではまだ挙児希望のない子宮筋腫はどのように治療する?
Q53 挙児希望のある子宮筋腫ではどのような場合に手術する?
Q54 現時点ではまだ挙児希望のない子宮腺筋症はどのように治療する?
Q55 挙児希望のある子宮腺筋症ではどのような場合に手術する?

Chapter 12 妊娠・分娩・産褥
Q56 流産予防にプロゲスチンやhCGは有効か?
Q57 早産予防にプロゲステロンは有効か?
Q58 オキシトシンによる分娩誘発・促進のコツは?
Q59 産褥の乳汁分泌抑制はどのように行う?

Chapter 13 避妊
Q60 OCの使い分けは?
Q61 OCを勧めるコツと,服用を継続させるコツとは?
Q62 緊急避妊薬の使い方は?
Q63 まだ日本に導入されていない避妊法にはどのようなものがある?

Chapter 14 更年期障害
Q64 更年期障害に対するHRTの使い分けは?
Q65 HRT以外の更年期障害の治療法は?
Q66 HRTの禁忌・慎重投与は?
Q67 HRTは何歳まで続けてよいか?

Chapter 15 閉経後のヘルスケア
Q68 閉経後の骨粗鬆症の予防にHRTは有効か?
Q69 閉経後の脂質異常症の予防にHRTは有効か?
Q70 閉経後の心血管疾患の予防にHRTは有効か?
Q71 閉経後の糖尿病の予防にHRTは有効か?
Q72 アルツハイマー病の予防にHRTは有効か?
Q73 尿失禁にHRTは有効か?
Q74 萎縮性腟炎はどのように治療する?

Chapter 16 子宮内膜増殖症・子宮内膜癌
Q75 子宮内膜増殖症のホルモン療法の方法は?
Q76 子宮内膜癌の発生や進行にエストロゲンはどうかかわる?
Q77 妊孕性温存希望の子宮内膜異型増殖症・子宮体癌のホルモン療法の方法は?

Chapter 17 乳癌
Q78 乳癌のホルモン療法の使い分けは?
Q79 タモキシフェンの子宮内膜に対する副作用とその対策は?
Q80 BRCA1またはBRCA2遺伝子変異保持者女性に対するリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)の効果は?

Chapter 18 ホルモン製剤
Q81 エストロゲン製剤の種類や投与経路の違いは?
Q82 プロゲスチンの世代による違いは?
Q83 OC・LEPによる動静脈血栓塞栓症の対策は?
Q84 OC・LEPは何歳から服用開始し,何歳まで服用可能か?
Q85 プロゲスチン療法に伴う異常子宮出血の対策は?
Q86 LNG-IUS装着のコツは?
Q87 GnRHアゴニスト療法に伴う低エストロゲン症状の対策は?
Q88 SERMが有効な疾患は?
Q89 SPRMが有効な疾患は?
Q90 アロマターゼ阻害薬が有効な疾患,病態は?現在開発中の適応も含めて教えてください

索引

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序文

 様々な生理機能の中で内分泌系ほど性差の著しい機能はないでしょう.もちろん,内分泌系の多くは男女に共通するものですが,生殖あるいはそれにかかわる臓器においては大きな相違があります.そのうちの女性特有の内分泌疾患を扱う産婦人科医にとって,生殖,周産期,腫瘍,女性医学の4領域のすべてにおいて,内分泌学の知識,診療技術は必須です.そこで,前書「基礎からわかる女性内分泌」では,女性内分泌について基礎から臨床まで系統的にまとめました.本書はその系統的な基礎知識を実践的に発展させるべく,女性内分泌に関して臨床の場でよく問題になるポイントや,治療方針を考える基盤となる知識を中心に,Q&A方式でまとめました.「基礎からわかる女性内分泌」とは,ちょうど教科書と問題集のような関係ともいえるでしょう.
 本書のクエスチョンは必ずしも網羅的ではなく,各疾患の疫学や診断よりも治療や治療の背景にある病態が中心です.また,臨床現場で女性を診療しているすべての医師を対象としていますので,アンサーはできるだけ実践的なものとしました.そのあとに続く解説で,アンサーの背景やエビデンスを詳述していますので,Q&Aを中心に関連する広い知識を獲得できるようになっています.
 本書の使い方として,日常診療において疑問が生じた時点で関連する項目を参照していただくこともできますし,最初から順に,あるいは興味のある項目を順不同に読んでいただくこともできます.しかし,せっかくのQ&A形式ですから,アンサーを見る前にご自身のアンサーを考えた上でアンサーと解説を読まれることをお勧めします.それにより,理解がより深いものになると思います.
 その際,読者のアンサーと本書の執筆者のアンサーが異なる場合もあるでしょう.臨床医学において,特に本書のように実践的な内容については,アンサーが一つではなく,また時代とともに変わっていくことは当然のことです.しかし,本書では,それぞれの項目に造詣の深い内分泌の専門家が,最新の情報,エビデンス,ガイドラインに基づいて解説しています.将来,新たなクエスチョンも現れ,アンサーの改訂も必要になると思いますが,少なくとも現時点では,皆様が安心して臨床に生かしていただける内容であると確信しています.

2017年4月
聖路加国際大学聖路加国際病院女性総合診療部
百枝 幹雄