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画像で診る遺伝性白質疾患 診断の手引き診断と治療社 | 書籍詳細:画像で診る遺伝性白質疾患 診断の手引き

厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業 

遺伝性白質疾患・知的障害をきたす疾患の診断・治療・研究システム構築班 編集

初版 B5判 並製 176頁 2021年06月11日発行

ISBN9784787824714

定価:7,480円(本体価格6,800円+税)
  

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遺伝性白質疾患の診断にあたっては,画像診断が鑑別診断のうえで重要.これら疾患の診断の入り口となる検査がMRI,特にT2強調像である.本書では,国内で報告された希少疾患も含めて,実に64疾患の症例写真を330枚も収載.また遺伝性白質疾患141疾患について,画像などからみられる大脳白質ないし付随する病変の特徴を表にまとめた.臨床現場でも広く役立てていただきたい遺伝性白質疾患の診断には必携の書.

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目次

●刊行にあたって
●序 文
●目 次
●略語一覧
●執筆者一覧

第Ⅰ部 総論
MRI による遺伝性白質疾患診断アプローチ

第Ⅱ部 各論
[HLD疾患]
1 Pelizaeus-Merzbacher 病(PMD)
2 早期髄鞘化部位の髄鞘形成不全症(HEMS)
3 Pelizaeus-Merzbacher様病1(PMLD1)
4 基底核および小脳萎縮を伴う髄鞘形成不全症(HABC)
5 低ゴナドトロピン性性腺機能低下症,歯牙低形成を伴う髄鞘形成不全症(4H症候群)
6 MCT8欠損症(Allan-Herndon-Dudley症候群)
7 18q欠失症候群
8 EPRS関連髄鞘形成不全症
9 TMEM106B 関連髄鞘形成不全症(HLD16)
10 脱髄型末梢神経障害,中枢性髄鞘形成不全症,Waardenburg症候群,Hirschsprung病を伴う髄鞘形成不全症(PCWH)
11 グリシン脳症(非ケトーシス型高グリシン血症)
12 FOXG1欠損症(先天型Rett症候群)
13 Zellweger症候群
[DLD疾患]
14 皮質下嚢胞をもつ大頭型白質脳症(MLC1,MLC2A,MLC2B)
15 Jacobsen症候群 (JBS)
16 白質消失病(VWM)
17 卵巣機能障害を伴う進行性白質脳症(LKENP)
18 神経軸索スフェロイド形成および色素性グリアを伴う成人発症白質脳症(ALSP)
19 KARS1関連白質ジストロフィー
20 脳幹および脊髄病変と乳酸上昇を伴う白質脳症(LBSL)
21 視床および脳幹病変と乳酸上昇を伴う白質脳症(LTBL)
22 モリブデン補酵素欠損症(MOCOD),亜硫酸オキシダーゼ単独欠損症(ISOD)
23 グルタル酸尿症1型(GA1)
24 フェニルケトン尿症(PKU)
25 メープルシロップ尿症(MSUD)
26 メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)欠損症
27 異染性白質ジストロフィー(MLD)
28 Krabbe病
29 副腎白質ジストロフィー(X-ALD)
30 巨大軸索性ニューロパチー(GAN)
31 メチオニンアデノシルトランスフェラーゼ(MAT)I/III欠損症
32 Lowe症候群
33 脳梁菲薄化を伴う遺伝性痙性対麻痺(HSP-TCC)
34 Sjogren-Larsson症候群(SLS)
35 Aicardi-Goutieres 症候群(AGS)
36 神経セロイドリポフスチン症(NCL)
37 Niemann-Pick病 C型(NPC)
38 Canavan病(CD)
39 Alexander病(ALXDRD)
40 ムコ多糖症
41 アシルCoAオキシダーゼ(ACOX1)欠損症
42 Wilson病
43 Leigh脳症
44 ピルビン酸脱水素酵素複合体(PDHC)欠損症
45 コハク酸脱水素酵素(SDH)欠損症
46 ビオチン・チアミン反応性基底核病(BTBGD)
47 ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群(MELAS)
48 慢性進行性外眼筋麻痺症候群(Kearns-Sayre症候群)
49 尿素サイクル異常症(UCD)
50 メチルマロン酸血症(MMA)
51 プロピオン酸血症(PA)
52 L-2-ヒドロキシグルタル酸尿症(L2HGA)
53 歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)
54 脳腱黄色腫症(CTX)
55 脳石灰化と嚢胞を伴う白質脳症(LCC)
56 脆弱X随伴振戦/失調症候群(FXTAS)
57 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL)
58 Fabry病
59 MYLF遺伝子に関連した可逆性ミエリン空胞化を伴う軽症脳症(MMERV)
60 Menkes病
61 CLCN2関連白質脳症
62 エオジン好性核内封入体病(NIID)
63 単純脳回と多小脳回を伴う帯状石灰化症(偽TORCH症候群)
64 GM1,GM2ガングリオシドーシス

●索 引

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序文

刊行にあたって

 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業の「遺伝性白質疾患・知的障害をきたす疾患の診断・治療・研究システム構築班」では,患者対象セミナーを毎年行っています.そこで届けられる患者・家族からの願いは,「早く診断されたい」「適切な治療を受けたい」「治療研究を推進してほしい」といった点に集約されます.私たちの班では,それぞれに対応した課題に取り組み,2019年度には,『治療可能な遺伝性神経疾患 診断・治療の手引き』をまとめました.
 遺伝性白質疾患の診断にあたっては,画像診断が鑑別診断のうえでは重要です.しかし,わが国には白質病変から鑑別に至るまでの適切なテキストブックがありませんでした.本書では,この分野の第一人者の髙梨潤一先生が中心となりコンセプトから練り上げられ,さらに神経内科領域から吉田誠克先生,放射線領域から森墾先生が編者として加わり,今求められているガイドブックができあがりました.編集にあたられた3人の先生に加え,各項の執筆に携わられた多くの先生方に感謝いたします.診断と治療社の櫻岡氏を始めとする皆様にはいつものようにたいへんお世話になりました.
 次世代遺伝子解析により,遺伝性白質疾患の疾患数は増大しています.しかし,原則を理解する重要性はかわりません.本書が臨床現場で広く用いられ,この領域の早期診断に貢献できることを編者一同願っています.

 2021年4月

厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業
遺伝性白質疾患・知的障害をきたす疾患の診断・治療・研究システム構築班 研究代表者
小坂 仁


序 文

 私が小児神経に足を踏み入れた30年前,千葉県にPelizaeus-Merzbacher病(PMD) の患者さんが複数おられ,小坂仁先生,井上健先生に遺伝子診断をしていただきました.髄鞘が形成できない髄鞘形成不全性白質ジストロフィーとの出会いです.当時,やっと実用化されたMRIの有用性に感銘を受け,神経放射線診断学にはまるきっかけとなりました.以降,小坂先生・井上先生は遺伝性白質疾患の遺伝子診断・病態解析を,私はMRI・MRスペクトロスコピーを用いた画像診断を継続して研究して参りました.
 PMD,PMD like diseaseくらいしか知られていなかった髄鞘形成不全性白質ジストロフィー,副腎白質ジストロフィー,Krabbe病,異染性白質ジストロフィーに代表される脱髄性白質ジストロフィーの鑑別疾患は,近年の分子遺伝学の急速な発展とともに拡がり,聞いたことのない原因遺伝子が次々と報告されています.これらの疾患の診断の入り口となる検査が MRI,特にT2強調像です.大脳白質ないし付随する病変の特徴から,これら白質疾患に迫るための手引書を今回作成いたしました.本書には国内で報告された希少疾患も含まれており,各論で記載できない疾患を含めて総論で表にまとめました.日常診療のなかでお役に立てれば幸いです.
 私の神経画像診断学の恩師である A. James Barkovich 先生,日本の小児神経・神経放射線診療に携わる多くの先生方,慣れない作業に根気強くお付き合いいただきました診断と治療社の櫻岡仁氏に感謝申し上げます.

 2021年4月

厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業
遺伝性白質疾患・知的障害をきたす疾患の診断・治療・研究システム構築班
髙梨 潤一