小児集中治療ポケットブック診断と治療社 | 書籍詳細:小児集中治療ポケットブック
広島大学大学院医系科学研究科救急集中治療医学 教授
志馬 伸朗(しめ のぶあき) 編著
初版 B6変型判 並製 312頁 2022年11月16日発行
ISBN9784787825520
待望の小児集中治療ポケットブックがついに刊行! 心肺蘇生から重症患者の管理まで、小児集中治療の現場で役立つ診断・治療・管理のエッセンスをまとめた1冊.薬の用法・用量,デバイスのサイズ選択,機器の設定など,すぐに確認したいことがここに凝縮.小児集中治療にかかわるすべての医療従事者のポケットに!
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目次
執筆者一覧
30 years~序に代えて
略語一覧
第1章 循 環
Ⅰ 心肺蘇生
1 薬剤,器具,アルゴリズム
2 除細動/AED
3 心拍再開後の治療
Ⅱ 循環不全
1 ショックの分類
2 組織灌流不全指標
3 心臓超音波検査
4 循環不全治療
5 機械的補助循環
6 心筋炎
Ⅲ 不整脈
1 頻拍性不整脈
2 徐脈性不整脈
3 抗不整脈薬
4 一時的ペーシング
Ⅳ 先天性心疾患
1 スコアリング
2 カテーテルレポート
3 循環作動薬など
4 類 型
5 ASD,VSD,AVSD
6 Fallot四徴症(TOF)
7 PAB,BTS
8 TGA
9 HLHS
10 TAPVC
11 先天性心疾患略語集
Ⅵ 酸素代謝指標,血行動態計算式
第2章 気道・呼吸
Ⅰ 呼吸窮迫・呼吸不全
Ⅱ 酸素療法と人工呼吸
1 酸素療法
2 HFNC(高流量鼻カニューラ酸素療法)
3 NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)
4 気道確保
1)気管挿管
2)DAM(困難気道管理)
3)ファイバー挿管
4)気管切開
5 機械的人工呼吸法
1)人工呼吸モードと基本設定
2)肺保護換気,非同調
3)呼吸器の離脱と抜管
4)人工呼吸中の管理
6 特殊呼吸療法
1)iNO
2)腹臥位
3)VV-ECMO
7 人工呼吸に関連する用語,動態式
Ⅲ 各種呼吸不全病態と治療
1 小児の急性呼吸促迫症候群(PARDS)
2 気管支喘息
3 急性気道異常
4 細気管支炎
5 喉頭・気管軟化症
6 COVID-19
Ⅳ 数値・計算式
1 血液ガス分析
第3章 水分・電解質・腎臓
Ⅰ 水分管理
1 必要水分量,体液区分,循環血液量
2 基本的輸液設定
Ⅱ 電解質管理
1 電解質
2 輸液製剤
3 電解質異常と補正
4 酸塩基平衡
Ⅲ 腎
1 腎不全
2 血液浄化法(腎代替療法)
3 腹膜透析(PD)
4 利尿薬
5 熱 傷
第4章 栄養・代謝
1 栄養評価と必要量
2 中心静脈栄養
3 経腸栄養法
4 ミルク,経腸栄養剤
5 血糖管理,インスリン療法
6 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)
第5章 消化器・肝
1 下痢,腸管麻痺,嘔吐
2 新生児壊死性腸炎
3 ストレス潰瘍
4 新生児黄疸
5 急性肝不全
6 代謝救急
第6章 感染症
1 アンチバイオグラム
2 小児抗菌薬用法用量
3 βラクタム系抗菌薬
4 その他の抗微生物薬
5 血液培養
6 医療関連感染の診断基準
7 小児敗血症性ショック
第7章 血液凝固
1 輸 血
2 抗血小板薬,抗凝固薬,止血薬
3 播種性血管内凝固症候群
第8章 神 経
1 小児意識レベル評価法
2 法的脳死判定
3 てんかん重積状態
4 脳浮腫治療
5 解熱鎮痛薬
6 鎮静薬
7 鎮痛薬
8 せん妄,離脱症候群
9 細菌性髄膜炎
10 急性脳症
11 処置鎮静
第9章 その他
1 血管内カテーテル
2 小児Aラインの加圧バッグ
3 臓器不全スコア
4 予後予測スコア
5 小児薬用量
6 バイタルサイン
7 デバイス一覧(蘇生カート)
8 虐 待
索 引
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序文
30 years~序に代えて
医師になって初めて触れた集中治療は小児集中治療であった.その後もついたり離れたりを繰り返しながら,30年以上も小児集中治療と関わってきた.
30年経って,小児集中治療は確実に進歩したと思う.この領域を志す若者も随分増えた.PCCMが生まれ,PICUが一般化した.さらにいえば,助かったり,機能回復する重症小児が確実に増えた.医学の進歩とは素晴らしいものだとつくづく思う.
一方で,個人的にはこの医学領域に幾許の貢献もできていないという忸怩たる思いがある.ろくでもない臨床医,研究者,教育者であったが,この様な人間にも何かできることはないかと考えてきた.
今時書籍は見合わない,スマホがあればポケットブックはいらない.そんな時代かもしれない.しかし今回は敢えて,“本”にこだわってみた.スマホの情報を取り入れるには,情報探索能力,つまり正確さと新しさをより分ける知識と経験が必要だ.誤った情報はミスリーディングとなりかねない.そこをサポートできる,手引きになると良い.特に日常的に小児重症患者に接しない医療従事者にとっても,役に立つもの.
多少のばらつきはあるが,できるだけ客観的な,できるだけ新しい,かつ,基本を確実に漏らすことのない内容を心掛けた.執筆者のほとんどは,小児集中治療の現場の人たちだ.みんな,日々悩んで,苦しんで,重症患児と対峙している.その中で見つけた宝物のような経験や挫折を背景に,この書籍は書き上げられた.
あれから30年も
この先30年も
2022年9月
初秋の風が吹き抜ける鴨川デルタにて
広島大学大学院医系科学研究科救急集中治療医学
志馬伸朗