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薬疹の上手な診かた・対応ガイド診断と治療社 | 書籍詳細:薬疹の上手な診かた・対応ガイド
新潟大学大学院医歯学総合研究科 分子細胞医学専攻細胞機能講座
阿部 理一郎(あべ りいちろう) 編集
初版 B5判 並製 176頁 2022年04月21日発行
ISBN9784787825551
日常診療でよく遭遇する様々な薬疹について,症状や疑い薬剤の分類,最新情報,検査,診断,対応のすべてなど必要な情報を網羅.皮膚科専門医だけでなく,一般内科医,薬剤師,看護師など、治療にかかわる人が知っておきたい知識を,カラー症例写真を多く掲載して視覚的にもわかりやすくまとめた一冊.
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目次
序文
執筆者一覧
A章 総論
1 薬疹とは何か?薬疹を診るための知識
薬疹とは何か
薬疹の病型,診断,治療
薬疹の発生機序
診断に関するトピックス
治療に関するトピックス
2 発疹タイプからみる分類とおもな原因薬剤を頭にいれておく
薬疹のタイプと主要な原因薬剤
3 皮膚科へのコンサルテーションのために情報を整理しよう
コンサルテーションに必要な情報
薬歴のまとめ方
コンサルテーションの書き方 実際の例
4 医薬品副作用被害救済制度とは
救済制度のなりたち
救済制度の概要・対象
給付請求の実際
本救済制度に関する認知度
生物由来製品感染等被害救済制度
詳細な情報
コラム 薬剤師からかかりつけ医(担当医)へ
B章 薬剤種類別の薬疹の診かたと対応
1 OTC医薬品,サプリメント
OTC医薬品,サプリメントとは何か
OTC医薬品・健康食品による薬疹
2 漢方薬
薬剤の概要・適応疾患
薬疹の発症機序・病態
分類・重症度
役に立つ情報
3 抗菌薬
薬剤の概要・適応疾患
薬疹の発症機序・病態
分類・重症度
役に立つ情報
4 抗悪性腫瘍薬
薬剤の概要
薬疹の発症機序・病態
分類・重症度
役に立つ情報
5 糖尿病治療薬(dipeptidyl peptidase-IV 阻害薬関連水疱性類天疱瘡)
薬剤の概要・適応疾患
薬疹の発症機序・病態
分類・重症度
役に立つ情報
6 高血圧治療薬
薬剤の概要・適応疾患
高血圧治療薬による薬疹とその特徴
役に立つ情報
7 抗リウマチ薬・自己免疫疾患治療薬
薬剤の概要・適応疾患
薬疹の発症機序・病態
分類・重症度
役に立つ情報
8 バイオ医薬品
バイオ医薬品とは
バイオ医薬品の種類
バイオ医薬品による皮膚反応の総論
バイオ医薬品による皮膚反応の各論
9 中枢神経作用薬
薬剤の概要・適応疾患
薬疹の発症機序・病態
分類・重症度
役に立つ情報
コラム 看護師からかかりつけ医(担当医)へ
C章 発疹タイプ別の薬疹の診かたと対応
1 蕁麻疹型
Case Summary
皮疹の特徴
皮疹の診かた・考え方
追加でチェックすべき身体所見・検査
まず行うべき対応
皮膚科にコンサルテーションをすべきと思われる場合のポイント
治療方針
経過
再発予防策
まとめ
2 播種状紅斑丘疹型
Case Summary
皮疹の特徴
皮疹の診かた・考え方
追加でチェックすべき身体所見・検査
まず行うべき対応・治療方針
皮膚科にコンサルテーションをすべきと思われる場合のポイント
経過
再発予防策
まとめ
3 多形紅斑型(erytema multiforme:EM)
Case Summary
皮疹の特徴
皮疹の診かた・考え方
追加でチェックすべき身体所見・検査
まず行うべき対応
皮膚科にコンサルテーションをすべきと思われる場合のポイント
治療方針
経過
再発予防策
まとめ
4 扁平苔癬型
Case Summary
皮疹の特徴
皮疹の診かた・考え方
追加でチェックすべき身体所見・検査
まず行うべき対応
皮膚科にコンサルテーションをすべきと思われる場合のポイント
治療方針
経過
再発予防策
まとめ
5 紫斑型
Case Summary
皮疹の特徴
皮疹の診かた・考え方
追加でチェックすべき身体所見・検査
まず行うべき対応
治療方針
経過
再発予防策
まとめ
6 光線過敏型薬疹
Case Summary
皮疹の特徴
皮疹の診かた・考え方
追加でチェックすべき身体所見・検査
まず行うべき対応
皮膚科にコンサルテーションをすべきと思われる場合のポイント
治療方針
経過
再発予防策
光線過敏型薬疹の動向
まとめ
7 固定薬疹(FDE)
Case Summary(1,2)
皮疹の特徴
皮疹の診かた・考え方
追加でチェックすべき身体所見・検査
まず行うべき対応
皮膚科にコンサルテーションをすべきと思われる場合のポイント
治療方針
経過
再発予防策
まとめ
8 薬剤性過敏症症候群(DIHS)
Case Summary
皮疹の特徴
皮疹の診かた・考え方
追加でチェックすべき身体所見・検査
まず行うべき対応
皮膚科にコンサルテーションをすべきと思われる場合のポイント
治療方針
経過
再発予防策
まとめ
9 スティーヴンス-ジョンソン症候群(SJS),中毒性表皮壊死症(TEN)
Case Summary
皮疹の特徴
皮疹の診かた・考え方
追加でチェックすべき身体所見・検査
まず行うべき対応
皮膚科にコンサルテーションをすべきと思われる場合のポイント
治療方針
経過
再発予防策
まとめ
10 急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)
Case Summary
皮疹の特徴
皮疹の診かた・考え方
追加でチェックすべき身体所見・検査
原因薬剤の検索
まず行うべき対応
皮膚科にコンサルテーションをすべきと思われる場合のポイント
治療方針
治療効果の判定
重症例の治療
経過
再発予防策
まとめ
11 接触皮膚炎
Case Summary(1,2,3,4)
皮疹の特徴
皮疹の診かた・考え方
追加でチェックすべき検査
まずやるべき対応
皮膚科にコンサルテーションをすべきと思われる場合のポイント
治療方針
経過
再発予防策
まとめ
コラム 担当医から上級医への報告・相談
D章 患者背景別の薬疹の診かたと対応
1 アレルギー等の基礎疾患がある場合
NSAIDs過敏症が基礎疾患にある場合
シェーグレン症候群(SS)が基礎疾患にある場合
慢性腎不全(透析患者)が基礎疾患にある場合
2 高齢者の場合
高齢者の皮膚
加齢と免疫系
多剤併用(ポリファーマシー)
高齢者の診察の注意
高齢者の紅皮症
まとめ
3 小児の場合
はじめに
疫学
病因
症状
診断
治療
重症薬疹とhuman leukocyte antigen(HLA)の遺伝子多型
まとめ
4 妊婦の場合
妊婦で用いられやすい薬剤と薬疹
薬疹と鑑別すべき妊婦の皮膚疾患
治療薬の妊婦に対する影響
索引
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序文
ほとんどの疾患の治療に薬剤が用いられます.そしてある一定程度薬剤による臓器障害が引き起こされます.たとえば肝機能障害は主要で重要なものですが,血液検査をしないと把握できないことがほとんどで,また軽度のものは「慎重に経過観察」とされることもあるかもしれません.
しかし薬剤による皮膚障害である薬疹の場合は,範囲が狭い場合でも患者さんの目に触れますし,積極的対応(薬剤中止)を求められることが多いのではないでしょうか.
それだけでなく,薬剤障害として認定をされ重症な場合は救済を行う制度がありますが,その救済対象となった症例の1/3は皮膚障害です.
つまり薬疹は認識されやすいというだけでなく,重症化することもありうるものなのです.
一方,診療の場では薬疹というと早期でわかることも多く大半は薬剤中止で改善治癒することがほとんどなのでそれほど重要視されない場合もあるかもしれません.
しかし,実際原因薬剤を同定するときに困った経験はありませんでしょうか.多数の内服薬を服用されている患者さんも多いでしょうし,内服開始から皮疹出現まで期間が短かったり(1,2日),逆に長かったり(1,2か月)した場合はどうしますか.
また一言で薬疹といっても様々な症状をきたします.全身に一様にでたり,主に四肢だけにでたり,淡い紅色から濃い鮮紅色,点状のものから大きい皮疹になった場合の違いはあるのか.皮疹に付随して発熱があったり,浮腫を伴ったり,時には痛みがあったりした場合はどうでしょう.
薬疹を疑うことは容易ですが,その反面個々の症例での発症のメカニズムを正確に把握することは容易ではなく,誤っている場合は症状は軽快せず,増悪してしまいます.
診療における薬疹の重要性をあらためて強調したいと考え,本書を企画いたしました.
本書は薬疹に関して必須な情報をできるだけ網羅的に掲載しました.おもに,若手皮膚科医を念頭におき,日常診療でよく遭遇する薬疹において,問診時に考慮すべきこと,診察の仕方,病態の把握の仕方・考え方,そして対応について,症例も交えて説明しました.具体的な内容も多く,積極的に活用,実践してもらえればと思います.
皮膚科専門医にも情報のアップデートに役立つような内容を多く記載しています.さらに他科の医師や薬剤師,看護師のかたにも,臨床写真など多く掲載し視覚的にもわかりやすくまとめました.
最後に,ご多用の中,時間を割いてご執筆いただいた執筆者の皆様に深謝いたします.読者の皆様が次に薬疹の患者さんを診られた際に少しでもお役に立てることを願います.
2022年2月
阿部理一郎