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国立精神・神経医療研究センター
脳神経小児科診断・治療マニュアル 改訂第4版診断と治療社 | 書籍詳細:脳神経小児科診断・治療マニュアル 改訂第4版

国立精神・神経医療研究センター病院脳神経小児科 小児神経診療部長

佐々木 征行(ささき まさゆき) 編著

国立精神・神経医療研究センター病院 てんかん診療部長/外来部長/てんかんセンター長

中川 栄二(なかがわ えいじ) 編著

国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナル・メディカルセンター センター長

小牧 宏文(こまき ひろふみ) 編著

改訂第4版 B6変型判 並製 476頁 2022年05月20日発行

ISBN9784787825568

定価:4,950円(本体価格4,500円+税)
  

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脳神経小児科の診断・治療のすべてを詰め込んだポケット版マニュアルが7年ぶりに改訂.前版より項目全体を見直し,より使いやすい構成にしたうえで,丁寧かつわかりやすい解説を加えて最新の内容となるようにアップデートされている.理解を助ける図,表,画像も満載で,今回より2色刷りの新レイアウトとなり,さらに見やすく,使いやすくなった.知りたいことがその場でわかる,臨床現場で心強い味方となる,必携の1冊.

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目次

I  症状から考えること,検査すること
 1  意識障害
 2  運動発達の遅れ
 3  筋緊張低下・亢進
 4  知的発達の遅れ
 5  言語発達の遅れ
 6  精神運動退行
 7  けいれん発作
 8  発作性のエピソード
 9  不随意運動
 10  歩行障害
 11  運動麻痺
 12  筋力低下
 13  頭痛
 14  下肢痛
 15  対人関係の問題と多動
 16  睡眠障害
 17  学習上の困難,読み書きの困難
 18  低身長・過成長,大頭・小頭

II  検査の目的と方法
 1  脳波
  (1)脳波・脳誘発反応の鎮静方法
  (2)脳波の上手な記録法と読み方
 2  睡眠ポリグラフィの記録法と読み方
 3  表面筋電図の記録法と読み方
 4  末梢神経伝導検査の記録法と読み方
 5  筋電図の記録法と読み方
 6  大脳誘発電位の記録法と読み方
  (1)聴覚誘発電位
  (2)視覚誘発電位
  (3)体性感覚誘発電位
 7  誘発筋電図―瞬目反射の記録法と読み方
 8  頭部画像診断(MRI,CT,SPECT,PET)
  (1)鎮静の工夫
  (2)読み方
 9  筋生検
 10  末梢神経生検
 11  先天代謝異常症の検査
 12  血液検査
 13  髄液検査
 14  尿検査
 15  染色体検査
 16  遺伝子検査
  (1)遺伝子検査の心構えと原則
  (2)遺伝子検査の実際
 17  病理解剖検査―その目的と注意
 18  心理検査
 19  神経眼科検査
 20  眼底検査
 21  骨密度検査

III  治 療
 1  てんかんの治療
  (1)てんかん分類・てんかん症候群の診断
  (2)てんかん症候群の治療
  (3)点頭てんかん(West 症候群)に対するACTH 療法
  (4)ケトン食療法
 2  けいれん重積の治療
 3  不随意運動の治療
 4  脳炎・脳症の治療
 5  筋緊張亢進の治療
 6  神経筋疾患の薬物治療
 7  睡眠障害の治療
 8  ミトコンドリア脳筋症の治療
 9  おもな代謝疾患の治療
 10  注意欠如・多動症 の治療
 11  自閉スペクトラム症の治療

IV  重症心身障害児のケア
 1  脳性麻痺の定義と分類
 2  重症心身障害と大島分類
 3  胃管と十二指腸管の入れ方
 4  胃瘻の管理
 5  呼吸障害の対策
 6  気管カニューレの交換と固定
 7  誤嚥検査
 8  胃食道逆流症(GERD)の診断
 9  栄養管理

V  筋疾患の全身管理,定期評価
 1  筋疾患の全身管理,定期評価

VI  在宅人工呼吸療法の実際
 1  在宅人工呼吸療法の実際

VII  正常値
 1  身長・体重・頭囲
 2  生化学検査
 3  末梢神経伝導速度
 4  瞬目反射
 5  誘発電位
  (1)聴覚誘発電位
  (2)視覚誘発電位
  (3)体性感覚誘発電位
 6  骨格系

VIII  診断書・福祉制度
 1  総説―知的障害者福祉
 2  身体障害者診断書・意見書
 3  小児神経外来診療と自立支援医療(精神通院)制度
 4  小児慢性特定疾病
 5  特定疾患(難病)
 6  障害者総合支援法
 7  特別児童扶養手当
 8  障害年金診断書
 9  産科医療補償制度

索 引
 和文索引
 欧文索引

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序文

 前回の改訂第3版発行から早くも7年の歳月が過ぎました.小児神経学の世界においても大きな進歩がみられています.治療では,脊髄性筋萎縮症に対する遺伝子作動薬および遺伝子治療薬が実現し保険適用されました.続いてDuchenne型筋ジストロフィーでも遺伝子作動薬が保険適用されました.そのほか,mTOR阻害薬,新規抗てんかん薬などで多くの進歩がみられました.診断分野では,全エクソーム解析が広く実施され,複数の遺伝性疾患の遺伝子解析が保険適用となりました.さらにアレイCGHも保険適用となり,ずっと研究ベースで行われていた遺伝子検査が商業ベースで実施可能になり,日常検査となりました.10年前ならまったく確定診断できなかった疾患でも,遺伝子解析の普及により比較的簡単に遺伝子異常がわかるようになりました.個々の正確な病態生理が解明され,患者さんごとに精密で正確な治療(precision medicine)が行われる時代はすぐそこです.
 今やGoogle先生に聞くと何でも瞬時で答えが得られます.これほど世の中が便利になると,煩わしいことは省かれる傾向になります.小児神経を専門とする医師には,患者さんを診ることなく血液一滴で診断して即治療開始などとはなりませんように.小児神経診療では,患者家族から心配事(主訴)を聞き,家族歴や病歴を事細かに聴取し,非協力的な乳幼児を含めて丹念に患者さんの全身診察と神経学的診察を実施します.正常所見と異常所見についてその意義を吟味し,病巣を推定し,病態を推理し,最終的に確定診断し,最適な治療を行うことが伝統的に行われてきました.編者らは,その知識と技術を多くの先達から学びました.これらの積み重ねを患者さんとその家族に還元するだけでなく,それを後継者に引き継ぐことも重要な務めとして小児神経診療を実践してきました.この診断・治療マニュアルはそれを形としてまとめたもので,多くの方に受け入れられたことはとても喜ばしいことです.今後もさらに多くの方に活用していただくことを願っています.
 2020年から新型コロナウイルス感染症のパンデミックが継続しています.ワクチンや抗ウイルス薬などが短時間で利用できるようになったのは大きな進歩です.しかし現代でも結局は対症療法で凌いでいるだけで,ピーク時には検査も入院もできないなど不安感は決して小さくはありませんでした.読者の皆さんには医療の基本を実践しながら,神経学も継続して学んでいかれますように.2022年には時代錯誤とも思える侵略戦争が始まり,核兵器使用の危機が瀬戸際まで迫っています.これほどまでに文明化され科学技術が進んだのに,人類のやっていることは100年前からあまり進歩していないようです.この暗い時代が一刻も早く終わりますように.
 平和な日々が復活し,本マニュアルがこれからも活用されることを祈念します.

 なお,NCNP小児神経科は2022年4月より正式な標榜科名を小児科から脳神経小児科と変更しました.それに伴い本書の表題も変更してあります.「小児神経」は学会名でもあり非常に愛着のあるニックネームではありましたが,NCNPの方針として脳神経内科,脳神経小児科,脳神経外科とそれぞれ守備範囲の異なる3科が力を合わせて神経疾患の克服を目指して邁進していくことになりました.今後ともよろしくお願いいたします.

 最後に本改訂版の刊行にあたりご尽力いただきました診断と治療社編集部の小林雅子様,土橋幸代様に感謝します.

2022年4月
惨状に涙し平和祈念する桜盛りの武蔵の丘で
佐々木征行