チャイルドヘルス
21世紀の子どもの保健と育児を支援する雑誌
子どもの保健と育児に関する話題・情報・研究を紹介し,やさしく解説. 子どものこころと身体を安全に育てるために,どうすればよいかを考える. 保育の現場ですぐに活かせる,日常生活に密着した内容. 偏見によらず,科学に裏づけされた内容. |
2021年 Vol.24 No.1 2020-12-24
自閉スペクトラム症(ASD)のいま
定価:1,760円(本体価格1,600円+税)
Myオピニオン
子ども虐待防止歯科研究会…渡部 茂
【特 集】
自閉スペクトラム症(ASD)のいま
(企画の言葉…湯汲英史)
1 ASDに対する新たな研究…岡田 俊
2 ASDは本当に改善しないのか?…今村 明,山本直毅,森本芳郎,松坂雄亮,金替伸治,小澤寛樹
3 知的障害を伴うASDの子どもへのコミュニケーション支援…一松麻実子
4 知的障害を伴わないASDの子どもへのコミュニケーション支援…小池 瞳
5 ASDの子どもと保護者への支援~子育てサロンの取り組みから~…垣迫弘美
6 ASDの子どもにおける社会性の発達…石崎滉介,岡田 智
7 ASDと愛着障害…古荘純一
8 ASDと薬物療法…原 仁
9 成人期におけるASDの臨床…本田秀夫
10 ASDと過剰診断~現状と問題点について~…三木崇弘
【連 載】
◆子どもの整形外科 第2回
うちわ歩行と内反足…西須 孝
◆困っている保護者とのコミュニケーションのコツ 第2回
見えにくい貧困と発達障害…湯汲英史
◆子どもの成長を育むおもちゃと遊び グッド・トイ22選 第5回
小さなおもちゃから,好奇心や発想が生まれる遊び…橋坂智子
◆小児科医がみた国際保健協力~ナイジェリアの現場から~ 第5回
国際保健を志したきっかけ…堀越裕歩
◆ようこそ絵本図書館へ 第25回
しかけ絵本…児玉ひろ美
◆育児Q&A
手指のアルコール消毒の適切な頻度…堀向健太
◆海外文献の紹介
母乳栄養期間が長いと入院頻度は減少するが,感染症症状の頻度は人工栄養児の方が少ない…榊原洋一
昔と今の自閉症
長年,自閉症とつきあってきた専門家は,「昔の自閉症と今の自閉症は違う」といいます.以前は,自閉症の8割には知的障害があるといわれ,大学でもそう習いました.そして「自閉症」から「自閉スペクトラム症(ASD)」へと診断名が変わりました.現在は「ASDのうち8割は知的障害がない」とされています.
ASDでは,誤診の問題が指摘されています.人の気持ちがわからないなど,社会性の面から診断されることも多いです.しかしこの社会性ですが,はっきりとした定義がありません.社会の変化や,年代によって捉え方が違います.たとえば,社会性に乏しいイメージのある「おたく」ですが,年代によって評価が否定的,肯定的に分かれそうです.
方策も見えてきた
自閉症といわれていた時代には,心理療法が主体でした.その後,行動療法などが適用され,いまはさらにSSTなど新しい方法が知られるようになりました.その影響で,子どもたちの成長は促されています.
隠れた能力を引き出すPC,スマホ
長年ASDの子どもや人とつきあってみて,内在的な能力は高いと感じます.特に,PCやスマホの使い方には驚きます.友だちもいないのに,ひとりで原理を理解し使いこなします.この面での能力を調べ,促す方法を探してみたいものです.
本特集で,ASDへの理解をより深めていただけるものと思います.
(発達協会/湯汲英史)