チャイルドヘルス
21世紀の子どもの保健と育児を支援する雑誌
子どもの保健と育児に関する話題・情報・研究を紹介し,やさしく解説. 子どものこころと身体を安全に育てるために,どうすればよいかを考える. 保育の現場ですぐに活かせる,日常生活に密着した内容. 偏見によらず,科学に裏づけされた内容. |
2021年 Vol.24 No.11 2021-10-27
“いつもと様子が違う”からはじまる小児救急
定価:1,760円(本体価格1,600円+税)
Myオピニオン
多様性を認める文化の醸成をめざして…吉村泰典
【特 集】
“いつもと様子が違う”からはじまる小児救急
(企画の言葉…長村敏生)
1 “いつもと様子が違う”からはじまる小児救急医療
~全身状態を指標とした急病時の子どもの評価の重要性と有用性~
…長村敏生
2 中枢神経系の原因疾患…菊池健二郎
3 心臓血管系の原因疾患…市橋 光
4 呼吸器系の原因疾患…岡田 広
5 消化器系の原因疾患…杉浦至郎
6 尿路性器系の原因疾患…平本龍吾
7 見逃してはいけない筋骨格系(四肢)の疾患と病態…神薗淳司
8 代謝・内分泌系の原因疾患…松永綾子
9 細菌感染症(敗血症など)による原因疾患…石川順一
10 血液・腫瘍疾患を見逃さないために必要なこと…浅井大介
11 異物を原因とする場合…西山和孝
12 熱中症・薬物中毒を原因とする場合…伊藤友理枝
【連 載】
◆りす先生のアウトドア防災ガイド 第1回
アウトドアでの寒さ対策…あんどうりす
◆海外子育て体験記 第3回
プリスクール(ロサンゼルス)…佐藤麻里
◆子どもの整形外科 第12回
骨の栄養障害…西須 孝
◆困っている保護者とのコミュニケーションのコツ 第12回
虐待が起きそうな家庭…湯汲英史
◆小児科医がみた国際保健協力~マレーシアの現場から~ 第15回
感染症対策…堀越裕歩
◆ようこそ絵本図書館へ 第35回
おやすみなさい…児玉ひろ美
◆育児Q&A
ノロウイルスの感染…堀川美和子
◆海外文献の紹介
産後の保健師訪問サービスは,子どもの虐待と救急受診率を大幅に減少させる…榊原洋一
乳幼児は自分の状態を言葉で訴えられない,もしくは訴えが不正確なことも少なくありませんが,その体調は全身(活気),顔つき,意識レベルなどに正確に反映されます.そして,子どものふだんの様子を知る保護者にとって,ふだんの様子との比較から子どもの全身状態を評価することはさほど難しいことではありません.よって,熱,咳,下痢といった症状の有無にかかわらず,子どもの全身状態は救急受診の可否を決定する有用な指標になりうると思われます.
一方,主として不機嫌を理由に受診した乳児で重篤な疾患を有するものは全体の5~10%以下に過ぎませんが,不機嫌の原因疾患は実に多岐にわたります.ただし,保護者の役割は子どもの病気を診断確定することではなく,“いつもと様子が違う”という段階でタイミングを逃さず救急受診の判断をすることであり,それによって早期の治療開始が可能になります.
今回,保護者が子どもの全身状態を評価するための具体的な方法を紹介するとともに,救急現場で遭遇する“いつもと様子が違う”からはじまるさまざまな小児救急疾患について臨床経験豊富な先生方から解説していただく特集を企画しましたので,ご一読いただければ幸いです.
(京都第二赤十字病院小児科/長村敏生)