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アルポート症候群診療ガイドライン2017診断と治療社 | 書籍詳細:アルポート症候群診療ガイドライン2017

日本小児腎臓病学会 編集

初版 B5判 並製 104頁 2017年06月13日発行

ISBN9784787823120

定価:本体3,200円+税
  

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アルポート症候群国内初の診療ガイドライン.疾患定義・病態生理から,疫学・予後,診断,治療では保存期間管理はCQ形式で解説し,腎機能が悪化した場合の腎代替療法についても触れている.難聴,眼病変といった腎外徴候から妊娠・出産時の母子への影響など遺伝子,成人期の問題についても取り上げている.生命予後が良好で,診療の機会が多いことが予想されることから,さまざまな医療者に読んでいただきたい一冊.

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目次

刊行にあたって
はじめに

アルポート症候群診療ガイドライン2017 委員一覧
本ガイドラインの作成について
CQ・推奨一覧

◉アルポート症候群診療アルゴリズム

Ⅰ アルポート症候群について
 1.疾患概念・定義
 2.病因・病態生理
 3.臨床徴候

Ⅱ 疫学・予後
 1.疫 学
 2.予 後

Ⅲ 診 断
 1.総 論
 2.各 論
  A 診断基準
  B 病理
  C 遺伝子解析

Ⅳ 治 療
 1.総 論
 2.各 論
  A 保存期管理
   CQ1 X連鎖型アルポート症候群男性患者において
       RA系阻害薬を腎機能障害進行抑制のために投与することが推奨されるか
   CQ2 X連鎖型アルポート症候群女性患者において
       RA系阻害薬を腎機能障害進行抑制のために投与することが推奨されるか
   CQ3 常染色体劣性型アルポート症候群患者において
       RA系阻害薬を腎機能障害進行抑制のために投与することが推奨されるか
   CQ4 常染色体優性型アルポート症候群患者において
       RA系阻害薬を腎機能障害進行抑制のために投与することが推奨されるか
   CQ5 アルポート症候群患者において
       シクロスポリンを腎機能障害進行抑制のために投与することが推奨されるか
   CQ6 アルポート症候群患者において
       アルドステロン拮抗薬を腎機能障害進行抑制のために投与することが推奨されるか
  B 腎代替療法

Ⅴ 腎外徴候
 1.聴力障害
 2.眼病変

Ⅵ 遺伝カウンセリング
 1.遺伝カウンセリング

Ⅶ 成人期の諸課題
 1.総 論
 2.各 論

索引

column1▶ アルポート症候群をはじめて報告したのは誰?
column2▶ アルポート症候群という疾患名
column3▶ 医師アルポートの人物像
column4▶ アルポート症候群の診断基準としては,Flinter[1988]とGregory[1996]が有名

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序文

刊行にあたって

 わが国では,平成26年度より“「希少性」,「原因不明」,「効果的な治療方法未確立」,「生活面への長期にわたる支障」の4要素を満たす難治性疾患に対して,患者データベースも活用し,難治性疾患患者の疫学調査に基づいた実態把握を行って,科学的根拠を集積・分析することにより,診断基準・重症度分類の確立,エビデンスに基づいた診療ガイドライン等の確立,診断基準・重症度分類・診療ガイドライン等の普及および改正等を行い,難治性疾患の医療水準の向上を図ること”を目的として,厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)が開始されました.
 本ガイドラインは,厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業(難治性疾患政策研究事業)「腎・泌尿器系の希少・難治性疾患群に関する診断基準・診療ガイドラインの確立」研究班の一事業として,主として日本小児腎臓病学会会員が企画・立案し,日本小児腎臓病学会の編集により作成されました.
アルポート症候群は,上記の4要素を満たす難治性疾患ですが,遺伝性糸球体腎炎としては最も頻度が高い疾患であるにもかかわらず,その診療ガイドラインは世界的にもほとんど作成されていませんでした.その最大の原因は,アルポート症候群が希少疾患であり,その診断や治療・管理に関する質の高いエビデンスがほとんどなかったことではないかと思われます.
 しかし,上記のようなわが国の政策の方向性が示されたことに加え,アルポート症候群が平成27年7月1日施行の指定難病となったことなどから,「Minds診療ガイドライン作成の手引き2014」に可能な限り準拠して診療ガイドラインを作成するに至りました.
 いうまでもありませんが,ガイドラインはあくまで診療を支援するためのものであり,診療を拘束するものではありません.このガイドラインを実際に臨床の現場でどのように用いるかは,医師の専門的知識と経験をもとに患者さんの意向や価値観を考慮して総合的に判断する必要があります.また,このガイドラインは恒久的なものではなく,今後,国内外の臨床研究で得られる新たなエビデンスをもとに順次改訂していく方針です.

 2017年5月

一般社団法人 日本小児腎臓病学会理事長

厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等克服研究事業
(難治性疾患等政策研究事業[難治性疾患政策研究事業])
「腎・泌尿器系の希少・難治性疾患群に関する診断基準・診療ガイドラインの確立」研究班

研究代表者
飯島一誠


はじめに

 本ガイドラインでは,アルポート症候群をIV型コラーゲン遺伝子変異に起因するものと捉えて記載されている.かつての本症候群の分類に含まれていたmyosin IIA(非筋肉性ミオシン重鎖IIA)をコードするMYH9遺伝子変異により巨大血小板症を伴う「Epstein症候群」や「Fechtner症候群」はアルポート症候群の亜型と考えるよりも別の症候群と理解するほうがよいので,本ガイドラインでは取り扱っていない.一方,臨床的に「良性家族性血尿」を呈する家系の一部が進行性遺伝性腎炎であるアルポート症候群の常染色体劣性型家系であることが明らかになり,臨床的には良性家族性血尿であっても病態としてはアルポート症候群とよぶべき家系があり,両者をはっきり区別することは困難な場合もある.そのように若干複雑なアルポート症候群の概念をしっかりと把握していただくことが,本ガイドラインの目的の一つである.
 アルポート症候群の頻度について,「5,000人に1人」と有病率をもって示されることが多く,本ガイドラインではその出典も明記している.発生率については「50,000出生に1人」であり,いわゆる希少疾患である.しかし,生命予後は良好なので幅広い年齢の患者さんが相当数存在すると推測される.難聴を伴わない場合もあるし,家族歴のない症例もある.いわゆる「原因不明の腎不全」とよばれる状態の患者さんのなかに紛れ込んでいる可能性がある.したがって,本症候群を診療する機会はすべての年齢を対象とする医療関係者に訪れる可能性がある.さらに,X連鎖型が80%を占めるため男性の疾患と捉えがちだが,X連鎖型女性でも,中高年以降に腎不全に陥ることがしばしばあり注意を要する.常染色体劣性型や何らかの理由で重症なX連鎖型女性患者では,妊娠・出産が問題となる.本ガイドラインでは,成人期の課題としてそれらを取り上げた.
 アルポート症候群は遺伝性疾患であるので,遺伝カウンセリングの対象となる.本ガイドラインではできるだけ具体的な事例をあげて,遺伝カウンセリングについても記載した.
 「本ガイドラインの作成について」においても記載するが,本ガイドラインの作成においては「Minds診療ガイドライン作成の手引き2014」を念頭におき,可能な限り準拠して作業を進め,保存期管理においてはクリニカルクエスチョン(CQ)を採用した.しかし,先に述べた通りアルポート症候群は希少疾患でありエビデンスは限られているため,その他の項目は可能な限りエビデンスに基づくnarrativeな記載とした.また,ガイドラインの骨子ではないが,アルポート症候群について興味深いと思われる事項をcolumnに掲載した.
 最後に,本ガイドラインによりできるだけ多くの人々にアルポート症候群に興味をもっていただき,本症候群診療の質の向上と新たなエビデンスの創出に資するところとなることを期待している.

 2017年5月

厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等克服研究事業
(難治性疾患等政策研究事業[難治性疾患政策研究事業])
「腎・泌尿器系の希少・難治性疾患群に関する診断基準・診療ガイドラインの確立」研究班

アルポート症候群グループ研究分担者
中西浩一