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不登校外来――眠育から不登校病態を理解する診断と治療社 | 書籍詳細:不登校外来――眠育から不登校病態を理解する

兵庫県立総合リハビリテーションセンターリハビリテーション中央病院  子どもの睡眠と発達医療センターセンター長

三池 輝久(みいけ てるひさ) 編集

初版 B5判 並製 160頁 2009年04月22日発行

ISBN9784787817051

定価:本体4,500円+税
  

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不登校とは「こころの問題」,「怠け」などではない.小児慢性疲労症候群として理解すべきもので,中枢神経機能を中心とした“疲労病態”である.本書では“病態”としての不登校状態について,専門的な医療のかかわりの重要性を明らかにした.また,“眠育”という予防的観点からも不登校を解説する.小児科医,小児神経科医等に是非お読みいただきたい.『学校過労死』(1994,診断と治療社)に続く待望の一冊!

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目次

CONTENTS
不登校外来 ――眠育から不登校病態を理解する

I章 不登校への医学的アプローチ
1.増え続ける不登校――わが国における不登校の現状
 a.不登校とは   
 b.増え続ける不登校   
 c.登校刺激は不登校を減らせるか   
 d.“登校”すればよいのか   
 e.不登校の原因は本人にもわからない   

2.不登校理解および理解の難しさ
 a.不登校は“病気”ではないのか   
 b.これまでの不登校理解の背景にあるもの   
 c.不登校という生き方   
 d.不登校は登校拒否か   
 e.科学的にみる不登校   

3.登校拒否と不登校
 a.不登校状態は誰にでも起こる   
 b.不登校状態の背景   
 c.不登校に至る原因   

4怠けではありえない不登校
 a.経験したことのないことの評価は困難   
 b.不登校状態と小児慢性疲労症候群(CCFS)   
 c.うつと慢性疲労症候群(CFS)   
 d.自己防衛としての不登校   


Ⅱ章 不登校状態における臨床症状
1.不定愁訴からはじまる初期疲労
 a.不定愁訴はどこから来るのか   

2.睡眠障害と不登校
 a.ストレスと生体時計シフト   
 b.睡眠問題   
 c.学校を離れるということ   
 d.不登校と社会的引きこもり   
  case1 〈典型的症例〉小学5年生,女児   


Ⅲ章 臨床的検査からのアプローチ――不登校状態にある人に対する臨床的検査
1.不登校(CCFS)児における自律神経機能

2.不登校(CCFS)児における事象関連電位
 a.事象関連電位測定方法   
 b.P300解析結果   
 c.P100,N150およびP200成分の解析結果   

3.内分泌機能検査
 a.糖負荷に対する血糖値反応とインスリン反応   
 b.甲状腺放出ホルモン(TRH)負荷による成長ホルモン(GH)の反応   

4.生体リズム検査
 a.睡眠覚醒リズム(終夜脳波,睡眠ログ)   
 b.深部体温測定   
 c.ホルモン分泌リズム(メラトニン,β-エンドルフィン,コルチゾール)   

5.不登校(CCFS)児における前頭葉機能検査

6.うつ度評価

7.不登校(CCFS)児における脳画像検査
 a.スペクトやキセノンCTによる脳血流異常   
 b.MRスペクトロスコピーによる脳代謝異常   

8.体内時計と時計遺伝子の話
 a.概周期リズムと社会生活   
 b.光と時計   
 c.概日リズム障害の背景   
 d.概日リズム障害は地球での生活を困難にする   
 e.概日リズムを賦活する   
 f.交代制勤務(shift work) 

9.不登校(CCFS)児における末梢血の時計遺伝子
 a.末梢血の時計遺伝子発現の日内リズムが異常   
 b.高照度光治療による睡眠覚醒リズムの改善と時計遺伝子( hPer2 )   

10.成長曲線の読み方――こころの問題との関連
 a.成長曲線とは   
 b.子どもの成長   
 c.成長曲線の活用   
  case1 8歳,女児   
  case2 12歳,女児   
  case3 11歳,女児   
  case4 9歳,女児   
  case5 11歳,女児   
  case6 13歳,男児   
  case7 15歳,女児   
 d.成長曲線を使おう   


Ⅳ章 臨床心理学的アプローチ
1.現在までの不登校に対する臨床心理学的アプローチ

2.こころの疲れは未熟性を引き出す

3.心理評価の実際
 a.心理検査とは   
 b.心理検査を実施する場合   

4.心理的サポートの実際
 a.心理面接   
 b.箱庭療法   
  case1 〈典型的症例〉中学1年生,女児   


Ⅴ章 治療の目標と実際
1.治療の目標
 a.治療の対象   
 b.診断を的確に   

2.アプローチ
 a.成績が下がったらまず休養   
 b.カウンセリングの功罪   
 c.学校に戻すことだけが治療ではない   

3.治療法
 a.薬物療法   
 b.高照度光療法   
 c.低温サウナ療法   
 d.環境調整   
 e.心理療法   


Ⅵ章 症例からみたライフステージごとの治療と支援
1.眠りと発達の関係
 a.新生児期   
 b.乳児期   
 c.幼児期   
 ◆睡眠障害と発達障害症例   
  case1 1歳8ヶ月,女児,自閉症スペクトラム   
  case2 3歳7ヶ月,男児,自閉的要素あり   
  case3 8歳6ヶ月,男児,自閉症   
 ◆睡眠障害と不登校症例   
  case4 中学生の不登校(中学2年生,女児)   
  case5 高校生の不登校(高校1年生,男児)   
  case6 青年期の引きこもり(27歳,男性,ニート)   
  case7 長期経過をたどる不登校(19歳,女性)   

2.不登校長期化の背景
 a.不十分な休養期間   
 b.家族や周囲(含学校関係者)の無理解   
 c.本人の理解不足   
 d.根性論者   
 e.低年齢   
 f.高年齢   


Ⅶ章 症例からみた不登校と現代
  case1 キレやすい子どもと不登校(11歳,男児)   
  case2 家庭内暴力と不登校(14歳,男児)   
  case3 非行と不登校(16歳,女児)   
  case4 引きこもりと不登校(21歳,女性)   

1.引きこもりと不登校

2.学校での取り組み


Ⅷ章 予防と早期対策――眠育の重要性
1.まず不登校発症の理解から

2.日常生活のリズム構築

3.初期症状の把握
 a.不定愁訴(自律神経症状)は警報   

4.睡眠ログによる睡眠不足の評価
 a.睡眠ログの活用   
 b.睡眠ログによる判定   
  pattern1 健常児(11歳,小学校5年生,女児)   
  pattern2 平日の軽度睡眠不足(12歳,小学校6年生,女児)   
  pattern3 睡眠欠乏が明らかな例(13歳,中学校1年生,男児)   
  pattern4 睡眠欠乏が明らかな例(14歳,中学校2年生,女児)   
  pattern5 睡眠欠乏高度例(13歳,中学校1年生,男児)   

5.睡眠教育(眠育)の重要性

6.避けられないフレックス制度の導入

7.学校における部活動の見直し

8.子どもを使った壮大な人体実験

9.まとめ――学校社会を見直す


Ⅸ章 不登校に対する医療以外の支援
1.不登校児童生徒の支援として何が必要か
 a.発症期   
 b.不登校期――心身の休養場所の提供   

2.不登校期における支援策
 a.子どもの居場所――家庭   
 b.子どもの居場所――家庭以外   
 c.その他の居場所   

3.学校社会復帰支援
 a.学校が設定する子どもたちの居場所   
 b.自立支援教室   
 c.フリースクール   

4.その他の支援

5.家族への支援


Ⅹ章 家族の病理と不登校状態とのかかわり
1.家族(家庭)の病理①

2.家族(家庭)の病理②

3.不登校には個人の資質“こころの弱さ”があるのか

4.保護者の育て方に問題があったのか

5.おわりに

Q&A

索 引

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序文

序 文

 これまで不登校は家族側からみると「生き方の選択」,「やむにやまれぬこころの問題」と解釈され,学校社会からは「怠け」,「わがまま」,「偏った子育てによる」などと考えられてきた.文部科学省や各メディアは「不登校は誰にでも起こるもの」としながらもその理由については触れようとはしてない.なぜなら,不登校の背景が漠然として捉えどころがなく,決まったタイプの子どもだけが不登校になるわけではなく,どのようなタイプの子にも起こることはわかっているが,なぜそのように誰にも起こるのかについては確信できる情報がないからである.
 1980年代後半から不登校問題に取り組みはじめた筆者は,数年後に「不登校状態は病態である」ことを確信していた.なぜなら,生命維持機能ともいうべき彼らの視床下部機能(体温調節,自律神経機能,ホルモン分泌機能:生体リズム)に明らかに問題があり,脳血流は低下しており,お勉強どころではない中枢神経機能の疲労状態にあることがわかったからである.そこで,1993年には「不登校と慢性疲労症候群」の関連性について報告し,さらに1994年に「学校過労死─不登校状態の子供の身体には何が起こっているか」を診断と治療社から出版させていただいた.過激な表題である「学校過労死」は,当時世界的に有名になっていたわが国における「過労死」が生体リズムの破綻によると考えられており,命が亡くなるだけではなく仕事ができなくなってしまう状態まで含めて「過労死」とよばれていた(過労死弁護団全国連絡会議,「過労死!」,講談社文庫,1992)ことから選ばれたものであり,今でも不登校状態を表す言葉として的を射ていたと自負している.  
 今回の「不登校外来」は,「学校過労死」のリメイクとも言うべき“不登校理解のための専門書”である.つまり,不登校状態が“小児慢性疲労症候群”として理解すべきものであり,明らかに中枢神経機能を中心とした“疲労病態”であることを皆様にも再確認していただくための専門書である.この疲労病態は睡眠障害を中心としており,二次的に気分障害を伴ったり,発達障害的様相を呈したりするものであり,専門的な医療のかかわりが非常に重要であることを明らかにしたつもりである.
 小児科医,小児神経科医の先生方に是非お読みいただきたい書である.不登校状態,および二次的に現れる発達問題等を含めて予防的観点からも本書を何らかの参考にしていただければ望外の喜びである.

2009年4月
三池輝久