産科と婦人科
精選された情報満載読者各位にとって欠かすことができない情報をタイムリーに提供. 「生殖おもしろ話」・「外界事情」・「青い血のカルテ」・「産婦人科診療 私のコツ」など連載も充実.
抜群の読みやすさオール2色刷り.一目でキーポイントがわかるレイアウト.
充実したラインナップ日常診療の場で即役立つ「増刊号」を年各1冊発行.日進月歩で激変する医学界のキーワードを読み解き,読者各位の壮大な負託に応えるべく「産科と婦人科」は微力を注ぎます.
2023年 Vol.90 No.増刊号 2023-03-24
ここまでわかった産婦人科の病態生理
定価:9,900円(本体価格9,000円+税)
「産科と婦人科」編集委員会
五十嵐敏雄 石本人士 寺内公一 宮城悦子
(五十音順)
カラー口絵
ねらい
第1章 周産期
A.妊娠中の産科異常
1.細菌性腟症 春日義史
2.頸管無力症 並松響子・他
3.絨毛膜羊膜炎・胎児炎症反応症候群(FIRS) 下屋浩一郎
4.前期破水 米田 哲
5.常位胎盤早期剝離,慢性早剝羊水過少症候群(CAOS) 牧野佑子・他
6.前置胎盤・癒着胎盤 山口宗影・他
7.妊娠高血圧症候群 藤井達也・他
8.子 癇 大野泰正
9.HELLP症候群・急性妊娠脂肪肝 大口昭英
10.一絨毛膜性双胎に関連した病態 山本瑠美子・他
11.羊水量の異常 小松篤史
12.胎児発育不全(FGR) 菊地範彦
13.免疫性胎児水腫・非免疫性胎児水腫 長﨑澄人・他
14.胎児機能不全 福田冬馬・他
15.母児間輸血症候群 髙橋 新・他
B.妊娠合併症
1.B群連鎖球菌(GBS)感染症 牧野真太郎
2.糖尿病合併妊娠・妊娠糖尿病 横山真紀・他
3.甲状腺疾患合併妊娠 吉原 愛
4.特発性血小板減少性紫斑病(ITP) 和田真沙美・他
C.分 娩
1.羊水塞栓症 東堂祐介・他
2.微弱陣痛,過強陣痛/頻収縮 葛西 路
3.産後の異常出血 石川 源・他
D.産 褥
1.妊産婦の深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症 森川 守
2.帝王切開の術後合併症 林 昌子
3.RPOC(retained products of conception) 中西美紗緒・他
4.劇症型溶血性連鎖球菌感染症(A群溶血性連鎖球菌感染症) 亀井良政
5.周産期精神障害 堀 雅博
第2章 腫 瘍
1.乳がん診療(ライフステージとの関連性) 土橋一慶・他
2.子宮頸がん 長阪一憲
3.子宮内膜増殖症・子宮内膜異型増殖症 三橋 暁
4.子宮体がん 中山健太郎・他
5.子宮肉腫 竹原和宏
6.子宮内膜症関連卵巣がん 小林 浩
7.卵巣境界悪性腫瘍 岩本雅美・他
8.腹膜がん・卵管がん・卵巣がん(子宮内膜症関連がんを除く) 柳田 聡・他
9.胚細胞腫瘍 太田幸秀・他
10.性索間質性腫瘍(顆粒膜細胞腫とセルトリ・ライディッヒ細胞腫を中心に) 小宮山慎一・他
11.絨毛性疾患 井箟一彦
第3章 生殖内分泌
1.原発性無月経 峯岸 敬
2.続発性無月経 綾部琢哉
3.高プロラクチン血症 青柳陽子・他
4.神経性やせ症・体重減少性無月経 粒来 拓・他
5.多囊胞性卵巣症候群(PCOS) 苛原 稔
6.Turner症候群 甲村奈緒子・他
7.性分化疾患 中塚幹也
8.思春期早発症・遅発思春期 甲村弘子
9.月経前症候群 武田 卓
10.月経困難症・過多月経 石沢千尋・他
11.卵巣奇形腫・NMDA受容体脳炎 亀井 聡
12.子宮筋腫 杉野法広
13.子宮内膜症 佐藤絵理・他
14.MRI画像による子宮腺筋症の分類 西田正人
15.異所性妊娠 梁 善光
16.卵巣過剰刺激症候群(OHSS) 伊藤 歩・他
17.早発卵巣不全 小林 睦・他
18.不妊症(排卵障害) 楠木 泉
19.不妊症(頸管・免疫因子) 山谷文乃・他
20.不妊症(受精障害) 竹内 巧・他
21.不妊症(着床障害) 京野廣一・他
22.男性不妊 岡田 弘
23.不育症 佐藤善啓・他
第4章 女性医学
1.梅 毒 原田和俊
2.性器クラミジア感染症 野口靖之・他
3.性器ヘルペスウイルス感染症 土屋裕子
4.尖圭コンジローマ 川名 敬
5.淋菌感染症 藤原道久
6.腟トリコモナス症 野上侑哉
7.性器カンジダ症 吉村和晃
8.細菌性腟症 山岸由佳
9.骨盤内炎症性疾患(PID) 加藤育民
10.HIV感染症 塚田訓久
11.外陰掻痒症 野田恒夫
12.更年期障害 小川真里子・他
13.閉経後女性の心血管リスク増加 篠原康一
14.骨盤臓器脱(POP) 古山将康・他
15.下部尿路症状(過活動膀胱・尿失禁) 吉澤 剛・他
16.外陰腟萎縮 寺内公一
17.認知症 亀山祐美
18.骨粗鬆症 井上玲子・他
19.フレイルとロコモ 小川純人
索引
本増刊号では病態生理を取り上げます.現在行われている診断,治療,予防の原理や背景を理解するためにも,臨床経過や予後を推定するためにも,また研究の方向性や創薬のターゲットを探求するうえでも,病態生理の理解は欠かせません.
約30年前にも本誌で病態生理をテーマとする増刊号を出版していましたので,今回の参考とするために以前取り上げた疾患を確認しました.当初あまり疾患の項目は変えずに,内容を最新の知見を踏まえてアップデートしてはどうかと考えていましたが,確認してみると,約30年という月日の間に新たに注目されてきた疾患,概念が様変わりした疾患が比較的多く存在することがわかりました.したがって構成にはかなり手を入れることになりました.
病態生理については,本誌通常号の特集でも多様な観点から触れていますが,様々な疾患の病態生理を1冊にまとめると,リファレンスとして非常に便利です.特に自分の専門外の疾患については,多くの情報源から病態生理をアップデートするのはなかなか困難です.この目的には,短時間に要領よく内容が掴めることがポイントになると考えました.そこで忙しい臨床の合間に「パッと」手に取って読んでいただけるものを目指し,本増刊号のタイトルは「図表・チャートでパッと理解!ここまでわかった産婦人科の病態生理」としました.
生理学の観点からみても,人の体を動かす仕組みは,幾重にもセーフティーネットが張られ,多様なフィードバックや相互作用がめぐらされた複雑系です.その破綻ともいえる病態生理は,疾患によっては非常に錯綜しており,まだ十分に解明されていない場合も多々あります.このような状況ではありますが,執筆者の先生方には無理を承知で,現時点での病態生理の見取り図を簡潔にわかりやすく解説いただくようにお願いしました.
読者の皆様には,本増刊号を活用して最新の病態生理像を理解し,明日からの診療に役立てていただきたいと思います.また本増刊号が,様々な段階の専門医を目指す若手医師の先生方や,研究分野を模索している研究者の方々にも有用な1冊となることを期待しています.
「産科と婦人科」編集委員会
東海大学医学部専門診療学系産婦人科 石本 人士
帝京大学ちば総合医療センター産婦人科 五十嵐敏雄
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科茨城県地域産科婦人科学講座 寺内 公一
横浜市立大学医学部産婦人科学教室 宮城 悦子