診断と治療
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2021年 Vol.109 No.2 2021-02-04
最新の花粉症診療
定価:2,860円(本体価格2,600円+税)
ねらい 柳元伸太郎
◆花粉症とは
花粉症総論 大久保公裕
花粉症におけるアレルギー性鼻炎 大久保公裕
アレルギー性結膜炎 高村悦子
花粉皮膚炎 横関博雄
花粉症の免疫学 中尾篤人
◆最新の花粉症診療
アレルゲン検査:花粉症診療におけるコンポーネント診断―解釈と診療への応用 近藤康人
花粉症治療の薬剤:経口治療薬,その他 小町太郎,他
花粉症治療の薬剤:点鼻治療薬 西嶌大宣
花粉症治療の薬剤:点眼薬―花粉性結膜炎の点眼治療の現状と問題点 海老原伸行
花粉症治療の薬剤:抗体医薬 湯田厚司
舌下免疫療法 松岡伴和,他
アレルギー性鼻炎の外科的治療 香取幸夫,他
アレルギー疾患に対するワクチン 黒野祐一
重症花粉症 河内理咲,他
◆花粉症トピックス
重要な花粉症の原因花粉の基礎と飛散期間 難波弘行
乳酸菌は花粉症に効果があるか 岡本美孝
連 載
◎症例を俯瞰する総合診療医の眼
冷汗を伴う心窩部痛を呈した45歳男性 川村 廉,他
◎注目の新薬
エンレスト®(サクビトリルバルサルタン) 久松恵理子,他
総 説
2型糖尿病患者における心血管疾患に対するGLP-1受容体作動薬の効果:心血管アウトカム試験を中心に 野出孝一
毎年,年明けから春先になると花粉症のことが話題にのぼる.花粉症に悩む患者にとっては憂うつな時期の訪れとなる.これはまた,医師にとっても,外来診療で花粉症以外の基礎疾患で通院している患者から花粉症に関する相談が増え,頭を悩ませる季節でもある.
もっとも,花粉症は年間の一時期だけ症状が出るものばかりでなく,通年性の花粉症に悩んでいる患者も多数いる.ある推計では花粉症で何らかの症状がある患者は,全国民の2割に上るとされている.老若男女を問わず幅広い年代で患者がいて,耳鼻咽喉科や眼科など症状に応じた診療科を受診する患者も多いと考えられるものの,花粉症は内科の日常診療でももっとも頻繁に遭遇する疾患の一つである.しかしながら,患者の症状は,鼻,目,皮膚など特定の部位に特に強く表れ,概念としては内科医が理解していてもそれぞれの器官,組織の特徴を理解した診療という点では,内科の枠を超えた病態の理解が不可欠である.
今回は,耳鼻咽喉科,眼科,皮膚科など,さまざまな分野の執筆者の先生方に,改めて花粉症の病態,現状などを臨床医学的な観点のみならず,基礎医学の視点や環境など医学以外の要因も含め幅広くレビューしていただいた.その上で治療については,ガイドラインに基づいた標準的な治療についても解説をお願いしている.また,花粉症治療に用いられる薬剤の種類は多岐にわたっている.現在使用可能なさまざまな薬剤について,その特徴,適応,用法などを実践的視点も加えた解説をお願いした.
この他にも診療に役立つ情報として,専門医以外ではあまり見かけることのない重症花粉症の症状,経過,治療についても紹介していただいている.重症花粉症の病態や治療を知ることで,自らが外来で診ている花粉症患者の訴えを理解し,必要なときに専門医療機関に速やかに紹介するためのヒントとなれば幸いである.加えて,原因となる花粉についての現状や,患者からしばしば相談されるヨーグルトなどの花粉症に対する「効果」についてもまとめていただいた.
花粉症シーズン到来を前にこれまでの花粉症診療に新たな視点をもって臨んでいただき,少しでも先生方,患者の役に立つ特集となれば幸いである.
東京大学保健・健康推進本部
柳元伸太郎