診断と治療
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わが国の内科総合誌のパイオニアで,数ある総合誌のなかでも抜群の安定性と評価を誇る. 新進気鋭の編集委員を迎え,最新情報を盛り込み読みごたえ満点. 連載「視診で見抜く!皮膚疾患の診かた」「注目の新薬」など. 増刊号も毎回シャープな切り口と実際的な内容が大好評. 2色刷のビジュアルな誌面. |
2022年 Vol.110 No.1 2022-01-07
慢性便秘症診療の最前線
定価:2,860円(本体価格2,600円+税)
ねらい 今枝博之
◆病態と診断
便秘の定義と分類,診断基準 穂苅量太,他
疫 学 大島忠之,他
病態生理と検査 金澤 素,他
慢性便秘をきたす薬剤 小笠原尚高,他
◆治 療
診断アルゴリズムと検査の進め方 水上 健
生活習慣の改善 上田 孝,他
治療薬の分類と棲み分け 秋穂裕唯
慢性便秘症診療とプロバイオティクス 髙橋憲一郎,他
浸透圧性下剤 千葉俊美
刺激性下剤 二神生爾,他
漢方薬の選択とその効果 尾髙健夫
上皮機能変容薬とIBAT阻害薬 中島 淳,他
坐薬,浣腸 都築義和,他
便排出障害の診断と治療 味村俊樹,他
◆話 題
小児の便秘診療 清水俊明
便秘型過敏性腸症候群の特徴と診療 猪口和美,他
向精神薬服用患者の便秘診療 丸木 拓,他
連 載
◎心電図は1枚の窓
心室細動で救急搬送となった20代男性 二宮雄一
◎注目の新薬
ジクトル®テープ75 mg(ジクロフェナクナトリウム経皮吸収型製剤) 山口重樹,他
◎医療裁判の現場から
糖尿病でないのにインスリン製剤を自己注射して救急搬送された患者を帰宅させたところ,自宅で低血糖昏睡となり死亡した事例 笹山桂一
慢性便秘症は女性に多くみられますが,高齢者では有病率が高くなり,男性にも多くみられます.「たかが便秘」といわれているものの,便秘は日常生活のQOLの低下につながり,なかには死因との関連も報告され,重要な課題となっております.また,小児領域においても排便習慣の乱れや学校での排便の抑制などによる便秘が問題となっています.食生活や生活習慣の改善はとても重要ですが,日常診療では薬剤に頼ることもしばしばみられております.これまでは酸化マグネシウムや刺激性下剤しかありませんでしたが,近年,上皮機能変容薬や胆汁酸トランスポーター阻害薬,オピオイド誘発性便秘症治療薬,新たな浸透圧下剤,漢方薬などの様々な薬剤が登場しており,治療薬の選択肢が増えてきております.さらにはわが国でも2017年に「慢性便秘症診療ガイドライン2017」が公開されて,便秘の分野が一躍脚光をあび,認知されるようになりました.
しかし,実際の臨床の現場では患者の訴えは様々で,その病態が明らかではないことも少なくありません.わが国で施行できる検査も限られており,画像検査は施行できるものの,大腸通過時間測定検査は保険診療として施行することはできません.排便造影検査やバルーン排出検査,直腸肛門内圧検査などの排便機能の検査も専門施設でしか施行することができません.また,治療薬の選択に関しても患者ごとにどの薬剤が最も適しているのかを見極めることが難しい場合もしばしばみられ,抗精神病薬の服用患者では治療薬を数種類処方しても治療に難渋する場合がみられます.
そこで本特集ではこの分野の専門の先生方に慢性便秘症の病態や検査,診断アルゴリズム,治療,具体的な処方の選択などについて日常診療に則してわかりやすく解説していただきます.本特集が諸先生方の明日からの日常診療の一助となりましたら幸いに存じます.
埼玉医科大学消化管内科
今枝博之