診断と治療
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2021年 Vol.109 No.6 2021-06-04
大きく進歩した造血器腫瘍の診断と治療
定価:2,860円(本体価格2,600円+税)
ねらい 前田嘉信
◆総 論
白血病・MDSの分類と疫学 澤山 靖,他
リンパ腫の分類と疫学 吉野 正
リンパ節腫大:いつ血液専門医にコンサルトすべきか 長藤宏司
◆各 論
骨髄異形成症候群 横山真喜,他
急性骨髄性白血病 山内高弘
慢性骨髄性白血病・骨髄増殖性腫瘍 竹中克斗
急性リンパ芽球性白血病 早川文彦
慢性リンパ性白血病 佐伯恭昌,他
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 戸谷治仁,他
濾胞性リンパ腫 伊豆津宏二
節外性NK/T細胞リンパ腫・末梢性T細胞リンパ腫 藤本亜弓,他
Hodgkinリンパ腫 冨田章裕
成人T細胞白血病・リンパ腫 塚崎邦弘
多発性骨髄腫 角南一貴
◆トピックス
造血幹細胞移植適応の変化 土岐典子
CAR-T細胞療法 後藤秀樹
造血器腫瘍におけるプレシジョン・メディシン 遠西大輔
連 載
◎心電図は1枚の窓
動悸を主訴に受診した22歳男性 村川裕二
◎注目の新薬
ダーブロック®錠(ダプロデュスタット) 丸野紗也子,他
総 説
日本人2型糖尿病患者に焦点を当てた経口セマグルチドの第3相臨床試験の要約 寺内康夫
造血器腫瘍は,子どもから大人まであらゆる年代で発症し得る疾患である一方,加齢とともにその発症頻度が増加するため,今日の日本の高齢化社会にあって遭遇する機会が増している.まず,本特集では,「白血病・MDSの分類と疫学」「リンパ腫の分類と疫学」の項目にて総論としたが,特にリンパ腫の増加が顕著であることを紹介いただいた.
造血器腫瘍は,貧血や発熱,リンパ節腫大といった,他疾患と共通し頻度の高い症状で発症することに加え,多くの造血器腫瘍は進行が早く,致死的な疾患であるため,鑑別は重要である.「リンパ節腫大:いつ血液専門医にコンサルトすべきか」の項目でわかりやすく診断の流れを解説いただいた.
各論として「骨髄異形成症候群」「急性骨髄性白血病」「慢性骨髄性白血病・骨髄増殖性腫瘍」「急性リンパ芽球性白血病」「慢性リンパ性白血病」「多発性骨髄腫」といった主に骨髄を病態の首座にもつ疾患と,リンパ節を首座とする「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」「濾胞性リンパ腫」「節外性NK/T細胞リンパ腫・末梢性T細胞リンパ腫」「Hodgkinリンパ腫」「成人T細胞白血病・リンパ腫」を取り上げた.いずれの疾患においても近年の分子遺伝学的解析研究の進歩により,その病態が明らかになるだけでなく,分子標的薬を中心とした治療法の急速な開発が進んできている.「大きく進歩した造血器腫瘍の診断と治療」と題した本企画に合致した解説が各項目で展開されている.
最後にトピックスとして「造血幹細胞移植適応の変化」「CAR-T細胞療法」「造血器腫瘍におけるプレシジョン・メディシン」を取り上げたが,社会に大きく影響する医療の進歩であり,広く読者に興味をもっていただけると幸いである.
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科血液・腫瘍・呼吸器内科分野
前田嘉信