産科と婦人科
精選された情報満載読者各位にとって欠かすことができない情報をタイムリーに提供. 「生殖おもしろ話」・「外界事情」・「青い血のカルテ」・「産婦人科診療 私のコツ」など連載も充実.
抜群の読みやすさオール2色刷り.一目でキーポイントがわかるレイアウト.
充実したラインナップ日常診療の場で即役立つ「増刊号」を年各1冊発行.日進月歩で激変する医学界のキーワードを読み解き,読者各位の壮大な負託に応えるべく「産科と婦人科」は微力を注ぎます.
2024年 Vol.91 No.3 2024-02-16
婦人科がん化学療法の進化−最適レジメンと管理を考える
定価:3,190円(本体価格2,900円+税)
電子版はこちらからご購入いただけます.
※価格は書店により異なる場合がございます.
(外部サイトに移動します)
https://www.m2plus.com/content/isbn/9784015209103
(外部サイトに移動します)
企画 宮城悦子
Ⅰ.レジメン選択に関する検査
1.子宮頸がんにおけるPDL1検査 / 村岡枝里香・他
2.DNAミスマッチ修復機能低下の検査 / 藪野 彰・他
3.卵巣がんにおける相同組換え修復欠損検出検査 / 尾堀佐知子
Ⅱ.子宮頸がん初回治療
4.同時化学放射線療法による初回治療時の化学療法レジメン / 馬屋原健司・他
5.広汎子宮全摘出術後の補助化学療法―化学療法・CCRT― / 古澤啓子
Ⅲ.再発・進行子宮頸がん
6.ペムブロリズマブを含む多剤併用療法―ベバシズマブはどう使う?― / 平澤 猛
7.セミプリマブはどう使う? / 久慈志保・他
Ⅳ.子宮体がん
8.子宮体がん初回治療―術後の補助化学療法の選択― / 野村弘行
9.進行・再発子宮体がん治療―ペムブロリズマブをどう使う?レンバチニブとの併用は?― / 温泉川真由
10.妊孕性温存,進行体がんにおける高用量MPA療法のポイント / 北澤晶子・他
Ⅴ.進行上皮性卵巣がん・卵管がん・腹膜がん
11.進行上皮性卵巣がん・卵管がん・腹膜がんの初回化学療法―conventional TCかdose-dense TCか?ベバシズマブを併用する?― / 池内香子・他
12.進行上皮性卵巣がん・卵管がん・腹膜がん初回化学療法後の腫瘍残存症例―1)プラチナ感受性症例へのPARP阻害薬の選択は? / 鶴田智彦・他
13.進行上皮性卵巣がん・卵管がん・腹膜がん初回化学療法後の腫瘍残存症例―2)プラチナ抵抗性腫瘍への化学療法選択は? / 髙取恵里子・他
Ⅵ.その他の悪性腫瘍
14.卵巣胚細胞腫瘍に対する化学療法レジメン―難治性・再発例も含めて― / 玉内学志・他
15.子宮肉腫に対する化学療法レジメン選択の基本的な考え方 / 竹原和宏
16.絨毛がんに対する多剤併用療法のレジメン選択 / 片山恵里・他
連 載
漢方よもやま話 第3回
加味逍遙散 / 能㔟充彦
弁護士が答えます!法律にまつわるあれこれ
患者さんが診察に納得されず,診察室から出て行ってくれないときの対応は? / 福原正和
専門医・認定医をとろう!私の体験記 第9回
日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡)(日本産科婦人科内視鏡学会) / 黒田健治
症 例
レンバチニブおよびペムブロリズマブ併用療法後に大動脈解離が生じたと考えられる子宮体がんの1例 / 東元孔志・他
婦人科がん化学療法の急速な進化と多様化が止まらないなか,新たな検査法も加味し適切な化学療法の管理を行うことが求められています.個別化治療が進む一方で,診療現場においては,治療均てん化・レジメン構築・クリニカルパス適用も考えていかなくてはなりません.免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の使用にあたっては,バイオマーカーとしてのマイクロサテライト不安定性の評価だけではなく,PD—L1 combined positive score(PD—L1 CPS:PD—L1検査)も加わりました.さらに,ICIによる適切な免疫関連有害事象対策も求められています.PARP阻害薬の選択にあたっては,相同組換え修復欠損の状況を把握しておくことも必須です.
進行・再発子宮頸がんでは,血管新生阻害薬併用が普及してきた矢先に,免疫チェックポイント阻害薬を用いた化学療法も可能となりました.さらに,新たなICIとしてセミプリマブ単剤も使用可能となり薬剤選択が多様化しています.子宮体がんについては,レンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法が保険診療として実施可能となりましたが,症例選択にはしばしば苦慮し実施にあたっての副作用管理についてもポイントを押さえておく必要があります.また,子宮体がんの妊孕性温存療法に使用される高用量の黄体ホルモン療法は,治療抵抗性体がんにも用いられており,適切な外来管理が必要です.そして,進行卵巣がん・卵管がん・腹膜がんについては,初回治療として通常の3週間ごとのパクリタキセル+カルボプラチン療法(conventional TC療法)またはdose—dense TC療法のどちらを選択するか,ベバシズマブを併用するメリット,維持療法としてのPARP阻害薬の選択について,ポリシーをもっての治療選択が重要です.子宮肉腫・卵巣胚細胞性腫瘍・絨毛がんは,比較的頻度が少ない婦人科悪性腫瘍ですが,化学療法は主治療の一角を担い,適切なレジメンを構築しておく必要があります.
このように多様化する婦人科がん化学療法において,読者の皆様が適切なレジメンを構築したうえで最適な治療を選択し,有効かつ安全な化学療法を実践していくために,本特集がお役に立てば幸いです.
(横浜市立大学医学部産婦人科学教室 宮城悦子)