産科と婦人科
精選された情報満載読者各位にとって欠かすことができない情報をタイムリーに提供. 「生殖おもしろ話」・「外界事情」・「青い血のカルテ」・「産婦人科診療 私のコツ」など連載も充実.
抜群の読みやすさオール2色刷り.一目でキーポイントがわかるレイアウト.
充実したラインナップ日常診療の場で即役立つ「増刊号」を年各1冊発行.日進月歩で激変する医学界のキーワードを読み解き,読者各位の壮大な負託に応えるべく「産科と婦人科」は微力を注ぎます.
2024年 Vol.91 No.増刊号 2024-03-22
これでマスター! 最新 産婦人科ホルモン療法
定価:9,900円(本体価格9,000円+税)
電子版はこちらからご購入いただけます.
※価格は書店により異なる場合がございます.
(外部サイトに移動します)
https://store.isho.jp/search/detail/productId/2406458490
(外部サイトに移動します)
「産科と婦人科」編集委員会
五十嵐敏雄 石本人士 寺内公一 宮城悦子
(五十音順)
ねらい
第1章 総論
1 視床下部―下垂体―性腺を含めて末梢の制御機構 田村 功・他
2 GnRHの作用とその関連薬 峯岸 敬
3 ゴナドトロピンの作用とその関連薬 笠原佑太・他
4 プロラクチンの作用とその関連薬 山本紘一郎・他
5 オキシトシンの作用とその関連薬 上田陽一・他
6 エストロゲンの作用とその関連薬 北脇 城
7 プロゲストーゲンの作用とその関連薬 平塚大輝・他
8 アンドロゲンの作用とその関連薬 白川智也・他
9 ミネラルコルチコイドの作用とその関連薬 吉田雄一・他
10 グルココルチコイドの作用機序とその関連薬 平田信太郎
11 甲状腺ホルモンの作用とその関連薬 松下明生
12 ホルモン療法の有害作用 藤村昭夫
13 ホルモン療法とプラセボ・ノセボ効果 山田宇以
14 妊娠・分娩に伴う母児の内分泌動態 石本人士
第2章 各論
A 生殖内分泌
1 思春期早発症 甲村弘子
2 無月経 北原慈和・他
3 異常子宮出血 石川博士
4 過多月経 丸山正統
5 月経困難症 吉野 修・他
6 一般不妊治療における排卵誘発とトリガー 杉山由希子・他
7 生殖補助医療における排卵誘発とトリガー 梶原 健
8 黄体機能不全・生殖補助医療における黄体補充 佐藤 團・他
9 多囊胞性卵巣症候群(PCOS) 馬場 剛
10 高プロラクチン血症 大山健一・他
11 早発卵巣不全(排卵誘発を中心に) 丸山哲夫
12 多毛症 川口頌平・他
13 不育症 杉 俊洸・他
14 男性不妊症 辻村 晃
B 女性医学
1 性分化異常 酢谷明人・他
2 摂食障害・女性アスリートの月経異常 小川真里子
3 月経前症候群・月経前不快気分障害 武田 卓
4 月経周期調節 河村英彦
5 避妊(緊急避妊を含む) 伊藤文武
6 性別不合/性同一性障害 中塚幹也
7 子宮内膜症・子宮腺筋症 谷口文紀
8 子宮筋腫 平田哲也
9 早発卵巣不全女性のヘルスケア 岩佐 武・他
10 更年期障害 岡野浩哉
11 女性性機能障害 関口由紀・他
12 脂質異常症 横田めぐみ
13 閉経関連尿路性器症候群 寺内公一
14 閉経後骨粗鬆症 澤田健二郎
C 周産期
1 早産予防 林 昌子・他
2 分娩誘発・促進法 葛西 路
3 頸管熟化 幸村友季子・他
4 胎児肺成熟の促進 夫馬和也・他
5 産褥期乳汁分泌管理 竹田善治
6 妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠に対するインスリン療法の実際 小谷紀子
7 甲状腺機能異常合併妊娠 坂井淳彦・他
8 HELLP 症候群―Mississippi プロトコルについて― 小寺千聡・他
D 腫瘍
1 子宮内膜増殖症・子宮内膜異型増殖症 安井智代
2 子宮体がんに対するホルモン療法の有効性 和田美智子・他
3 子宮肉腫(子宮平滑筋肉腫・子宮内膜間質肉腫等) 西川忠曉
4 乳がんの転移・再発予防 山田公人
5 女性がんの化学予防 植野さやか・他
6 女性がん患者のサポーテッドケア 横山良仁
事項索引
処方薬索引
今回の増刊号のテーマはホルモン療法である.ホルモンとは特定の細胞でつくられ血流で全身に運ばれてホルモン標的臓器(細胞)に作用して特定の応答を引き起こす物質と定義されてきた.ホルモン作用は多岐にわたることが多いが,ホルモンにはそれぞれ受容体があって血中にホルモンが分泌または投与されても標的細胞が受容体を発現していないと十分に作用が発揮されない.そのためホルモンを投与する前には,ホルモン受容体発現の月経周期や妊娠週数や年齢などによる修飾を考える必要がある.臓器により感受性が異なるホルモン剤も開発されている.投与法に関しても考える必要があって,従来のホルモン剤の内服や注射などの全身療法だけではなく,貼付剤や塗り薬,点鼻薬や子宮内システムなどの局所療法が開発され選択肢が広がっている.局所療法は今や広く使われ,ホルモンは全身作用というイメージを変えている.産婦人科領域では視床下部−下垂体−卵巣−子宮内膜という重要な軸があり,女性の身体は様々なホルモンによりコントロールされている.最近ではキスペプチンなど視床下部の研究が進み,思春期や排卵や更年期障害などの事象も解明されつつある.ホルモンというと排卵・受精・着床などの生殖内分泌領域や月経前緊張症,更年期障害などの女性医学領域だけに関係していそうだが,妊娠の成立,妊娠中の機能維持,分娩などの周産期領域,さらには子宮筋腫や子宮内膜症,子宮腺筋症,ホルモン感受性腫瘍,ベストサポーティブケアなどの腫瘍領域にも大きく関与している.各領域で新しい薬が開発されていて,最新かつ最善のホルモン療法をマスターすることは女性を診療するうえで大きな武器になる.
ただ,実際にホルモン剤を使用するとなると不安を抱き投与したくないと考えるのは患者側だけでなく医師側にも多い.確かに深部静脈血栓症などの副作用はみたくないが,適切な症例に安全な方法で投与し,十分に患者教育して適切に管理することにより副作用の回避は可能である.本増刊号はホルモン療法を安心して安全かつ有効に使っていただくために,最新のホルモン療法のメカニズム,適切な症例,効果,処方例,管理法などを各領域のエキスパートにまとめていただいた.多くの医師がホルモン療法に習熟し,多くの患者がその恩恵を受けることを期待して止まない.
「産科と婦人科」編集委員会
帝京大学ちば総合医療センター産婦人科 五十嵐敏雄
東海大学医学部専門診療学系産婦人科 石本 人士
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科茨城県地域産科婦人科学講座 寺内 公一
横浜市立大学医学部産婦人科学教室 宮城 悦子