小児科診療
最新の情報からベーシックな知識までわかりやすくお届けします!
読者の要望にお応えすべくup-to-dateな特集を提供.内容の充実とわかりやすい解説に腐心しました.
一目で要点をとらえ,本文へ読みすすみやすいレイアウト.
「増刊号」・「特大号」を年各1冊発行.読者の厚い信頼に応える内容で日常診療に不可欠な情報満載.
連載「Photo Quiz」ではビジュアルに画像診断のポイントを解説.
2020年 Vol.83 No.増刊号 2020-04-03
症候・疾患からみる小児の検査
定価:8,800円(本体価格8,000円+税)
序 文 /三牧正和
Ⅰ.症候からみる臨床検査の進めかた
体重増加不良,やせ /宮田市郎
不明熱 /稲毛康司
脱 水 /三浦健一郎・他
浮 腫 /中西浩一
リンパ節腫脹 /岡村隆行
低身長 /望月 弘
過体重,肥満 /有阪 治・他
外陰部異常,性分化疾患 /中村 繁・他
二次性徴の異常 /田島敏広
月経の異常 /平野茉来
低血糖 /西村 玲
高血圧 /岡本正二郎
動 悸 /松裏裕行
胸 痛 /福島裕之
腹 痛 /佐々木美香・他
吐血・下血 /名木田 章・他
黄 疸 /坂口廣高・他
下 痢 /神保圭佑・他
肝機能障害 /和田宏来・他
貧血(鉄欠乏性貧血を除く) /土持太一郎
出血傾向・血栓傾向 /長江千愛
血小板減少 /河上早苗・他
蛋白尿(血尿を伴わない) /清水翔一・他
血 尿 /松村和哉・他
多飲・多尿・頻尿 /西 美和
けいれん・意識障害 /髙田栄子・他
筋痛,筋力低下,筋緊張低下 /小牧宏文
咳嗽・喀痰・血痰 /山田裕美・他
呼吸の異常・呼吸困難 /植田 穣
関節痛 /村田卓士
Ⅱ.疾患からみる臨床検査の進めかた
食物アレルギーが疑われるとき /藤澤隆夫
薬物アレルギー,薬剤性過敏症症候群が疑われるとき /渡邊友也・他
染色体異常が疑われるとき /大橋博文
結核が疑われるとき /宮川知士
細菌感染症が疑われるとき /阿部克昭
ウイルス感染症が疑われるとき /寺田喜平
リケッチア感染症,真菌感染症が疑われるとき /詫間隆博・他
性感染症が疑われるとき /佐藤武幸
白血病が疑われるとき /種山雄一
リンパ腫が疑われるとき /犀川 太・他
固形腫瘍が疑われるとき /鈴木孝二
DICが疑われるとき /鶴田敏久
マクロファージ活性化症候群が疑われるとき /清水正樹
川崎病が疑われるとき /宮田功一
心筋炎が疑われるとき /廣野恵一
膵疾患が疑われるとき /平井沙依子・他
急性腎障害が疑われるとき /貝藤裕史
慢性腎臓病が疑われるとき /秋岡祐子
先天代謝異常症が疑われるとき /味原さや香・他
アミノ酸代謝異常が疑われるとき /新宅治夫
有機酸代謝異常・脂肪酸代謝異常が疑われるとき /中島葉子・他
甲状腺疾患が疑われるとき /鬼形和道
糖尿病が疑われるとき /西川直子・他
骨代謝の異常が疑われるとき /長谷川高誠
下垂体機能異常症が疑われるとき /沼倉周彦
副腎疾患が疑われるとき /石井智弘
脂質異常症が疑われるとき /原 光彦
免疫不全が疑われるとき /野々山恵章
リウマチ性疾患が疑われるとき /阿久津裕子・他
索 引
三牧正和 /帝京大学医学部小児科
わが国の小児医療において,臨床検査が不可欠なものであるのは論をまちません.多くの医療機関で,必要なときに,多くの種類の検査を,迅速に行うことのできる環境が整備されています.しかしながら,実際に患者を前にした際に,病歴や身体所見から児の症候を読み取り,状態評価や診断のために必要な検査を的確に選択し,正しく解釈するのは必ずしも簡単なことではありません.また,小児の診療においては,検査の侵襲性について成人より細やかな配慮が求められるので,不必要な検査はできるだけ回避したいものです.評価すべき項目を絞り込む作業が必要となりますが,そのためには当然のことながら年齢に応じて想起すべき疾患の特徴を知る必要があります.さらに,検査結果を手にしたときには,年齢による基準値の違いをふまえて解釈しなければなりません.
これらの小児の臨床検査の特殊性をふまえ,2011 年に「小児科診療」の増刊号「子どもの臨床検査」が刊行され,小児医療に携わる多くの先生方に活用いただきました.以来10 年近くを経て,新しい検査法が臨床応用されてきました.検査の優先順位やアプローチに変化がみられる分野もあります.そこで今回,新たな執筆者の先生方もお迎えして,前版に引き続き一般小児科の先生方を対象に,本増刊号「症候・疾患からみる小児の検査」を企画しました.
本書の前半では,小児診療で遭遇する症候・症状を取り上げ,最初にどのような検査を行うべきか,鑑別を絞り込むために必要な検査は何か,続いて検査結果の解釈や,異常値のある場合のアプローチ方法について,経験豊かな先生方にわかりやすく解説いただきました.後半では,想起される疾患・病態について,実際にどのように検査を組み立て,診断,治療に結びつければよいか,専門家の先生方に,一般小児科医も知っておくべき情報を整理いただきました.近年の技術の進歩に応じ,新しい検査法についても記載し,アップデートいただいています.また,年齢によって基準値が異なる検査については,結果の解釈に十分な注意が必要です.年齢別の基準値も示されていますので,日常診療に役立てていただけることと思います.
小児医療に取り組む医師が患者に相対した際に,限られた時間のなかでアセスメントし,自信をもって必要十分な検査をオーダーし,正しい解釈のもと適切な診断・治療に結びつけることができるために本書を役立てていただけることを,編集委員一同願っております.最後になりますが,多忙な診療のなかから,貴重な原稿をご執筆くださった先生方に,心から御礼申し上げます.